長野県
うつくしがはらおんせん・つきのしずか
美ヶ原温泉・月の静香
歴史の重みを感じながら滑らかな湯を楽しむ
松本駅からクルマで10分ほど、住宅地を抜けるあたりに美ヶ原温泉があります。いくつかの温泉旅館が並んでいますが、歓楽的な要素はほとんどなく、静養向きの静かな温泉地です。温泉の歴史は意外と古く、奈良時代の初めに天武天皇が湯浴みをされたとの記録もあるそうです。当時は「束間の温湯」と呼ばれていたそうで、その後、「山辺温泉」と呼ばれたり「白糸の湯」と呼ばれたりして、昭和30年代に美ヶ原温泉と改名されたのだそうです。その温泉街の少し外れたところに「月の静香」があります。古民家を移築して建てられたという、歴史の重みを感じる外観で、とても上品な印象を受けます。玄関も茅葺屋根の大きな門になっていて、「大人の隠れ宿」というような印象も受けました。古民家を移築したとはいえ、平成18年(2006)にオープンしたばかりとあって、館内も情緒ある和の雰囲気と、モダンで現代的な新しさを感じる、まさに和洋折衷といった感じです。建物は本館、新館、別館とあるのですが、新館である九曜亭には全室に桧造りの温泉風呂があるそうです。できることならその九曜亭に泊まりたいところですが、今回は予算の関係もあり、浴室のない本館の洋室に宿泊しました。そんなわけでさっそく大浴場へと向かいます。こちらは1階の一番奥にあります。廊下を進んでいくと、丸みを帯びた木製の橋があり、そこを渡ると浴室の入口です。右側が女湯、左側が男湯となっていました。脱衣所は棚にカゴが並んでいます。冷水機やハンドタオルが用意されていて、洗面台もゆったりとしています。とても清潔的な印象ですね。ガラス扉を開けるとすぐに浴室ですが、手前側が洗い場、奥に湯舟があるという、とてもシンプルなスタイルです。そんなに広い浴場でもありませんが、宿の規模からするとちょうどいい広さかも知れません。湯舟の奥には大きなガラス窓があり、わりと明るい印象です。窓の外には露天風呂がありますが、その先は壁になっているので、景色が見えるわけではなく少し閉塞感もあります。しかしながら、雰囲気は悪くなく、それなりに凝った演出もしていました。湯舟の湯はほぼ完全な無色透明です。アルカリ性単純温泉ということで、癖のない滑らかな湯が特徴のようです。さっそく体を流して浸かってみると、肌の表面がツルッとする感触のいい湯です。温度もちょうどよく、とてもリラックスして湯を楽しむことができました。循環しているとはいえ、湯は少しずつ溢れ出して洗い場の排水溝へと流れているので、半掛け流しといった状況でしょうか。落ち着いて湯を楽しめます。露天風呂はすぐ外側にありますが、出入口は窓際ではなく脇の白い扉です。てっきりサウナの扉かと思いましたが、露天への通路でした。露天は岩風呂調になっていて、月をイメージしたものでしょうか、丸い穴のあいた塀があり、とても和やかな雰囲気がありました。露天は内湯よりも少し熱めの湯になっていて、溢れ出る様子もないので、内湯の方が湯の印象は良かったです。この宿は料理も自慢で、地のものを利用した綺麗な盛り付けの食事が楽しめます。ちょっとした贅沢を味わいながら、優雅に過ごしたいものですね。
掲載: 2010/12/11
Data
- 所在地:長野県松本市里山辺湯の原
- 源泉名:混合泉(第2,3,4,5源泉の混合泉)
- 入浴 :2010年6月
- 泉質 :アルカリ性単純温泉
- 泉温 :源泉42.2度
- PH :8.6
- 蒸発残留物:413mg/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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