栃木県
にっこうゆもとおんせん・ゆもといたや
奥日光湯元温泉・湯元板屋
心にも体にも染みわたる乳白色のやすらぎ
奥日光湯元温泉は、世界遺産である日光のさらに奥、クネクネ道の続くいろは坂や中禅寺湖を過ぎ、戦場ヶ原を抜けると、湯ノ湖の畔に温泉街が見えてきます。日光の喧騒とは裏腹に、こちらはのんびりとしてとても静かな雰囲気の温泉街です。歓楽的な要素のほとんどない静かな温泉地ですが、たくさんの温泉宿が軒を連ねています。湯元板屋は、創業150年というから江戸時代末期の頃から営業している老舗の宿のようです。けっこう立派な宿で、純和風の高級感漂う造りが品のよさを感じさせます。浴場はフロント脇のエレベータで3階にあがると、その先にありました。入口を覆うような丈の長い暖簾が架かっていて、男湯は「男体の湯」、女湯は「女峰の湯」と名付けられていました。浴場はわりと小ぢんまりとしていますが、内湯と露天風呂が用意されています。内湯は壁際に洗い場が並び、四角い湯舟が窓際にひとつあるだけです。温泉街に入ってから独特の温泉臭が漂っていたのですが、浴場ではしっかりと濃厚な硫化水素の臭いが漂っていました。湯舟は青白い色に濁った乳白色の湯です。透明度は10〜15センチといったところでしょうか。体を流して湯舟に体を沈めると、じんわりと肌に染みわたるように、濃厚な温泉が体を包み込みます。けっこう熱いのかと思ったけれど、熱くもなく温くもないといった丁度いい温度です。しかしながら5分もしないうちに汗がジトーッと出てくるほど、温まりの早い湯のようです。湯舟へは脇にある湯口から注がれているのですが、注がれる湯はほとんど無色透明の湯です。湯舟には新しく注入された湯を囲うようなスペースがあり、そこも無色透明です。どうやら時間の経過とともに白濁してくる湯のようです。湯の流れ出るところには、白髪まじりの老婆のように、白と黒がメッシュ状になった湯の華がユラユラと揺れていました。注がれる湯はけっこう熱く、温度を計ると62度ほどありました。火傷の恐れがあるので直接触らないようにしましょう。露天風呂は内湯のすぐ外側にあります。L字を横にしたような形で、一部に屋根のついている風情ある湯舟です。こちらも内湯と同じように乳白色ですが、こちらの方が微妙に鶯色っぽい気もします。光の加減によるものでしょうかね。露天は建物の裏側にあるので、裏山の緑が間近に迫っていてとても清々しい気分です。このまま目を閉じると、どこかとても深い山の中にでもいるような気持ちになります。寝湯があったら気持ちいいだろうなと思っていると、なんと湯舟の奥側はスロープ状になっていて、横になりながらのんびりと浸かれるようになっていました。そのスロープもゴツゴツと拳ぐらいの石がはめ込んであるので、背中を刺激しながらとても気持ちよく横になることができます。非常にポイントの高い工夫ですね。情緒を楽しみながら濁り湯を堪能できました。
掲載: 2011/01/30
Data
- 所在地:栃木県日光市湯元温泉
- 源泉名:奥日光開発(株) 3号・4号混合泉
- 入浴 :2010年7月
- 泉質 :含硫黄−カルシウム・ナトリウム−硫酸塩・炭酸水素塩温泉
- 泉温 :源泉77.0度
- PH :6.4
- 蒸発残留物:1127mg/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
温泉レポートを検索