三重県
ありくじおんせん・ありくじそう
有久寺温泉・有久寺荘
山の中でひっそりとした気分に佇む
紀伊長島は三重県の南部、太平洋側に位置する長閑な町です。漁業の盛んな町で、美味しい海の幸を味わえたり、また世界遺産の熊野古道も通っているので、観光の町としても活気があります。JR紀伊長島駅からクルマで10分ほど、国道422号線から少し離れた山の中にある温泉宿が有久寺温泉です。地図にもしっかりと載っている温泉地ですが、本当に怪しさ満点の温泉施設です。というのもアクセスが変わっています。国道から脇道に入ると、これがまたものすごく狭い道です。狭い道というよりも山道なのです。道を間違えたかと思うような山道です。国道からそんなに離れたわけでもなく、せいぜい数百メートルぐらいなのに、とてもこの先に宿があるとは思えないような道です。でも看板があるので宿があるのは間違いなさそうです。そして辿り着いてみると、廃業してしまったかと思うような宿があります。やはり廃業しているのかと不安になりましたが、まだ新しくて綺麗な宿の車が停まっていたり、看板も新しいものなので営業していそうです。実は以前も来たことがあるのですが、まるで人の気配がなくて入浴を諦めたのですが、今回は人の気配があります。さっそく入浴をお願いすると、快く迎えてくれました。浴場は最初に現れる建物とは小川を挟んだ反対側にありました。案内に従って奥へと進むと、怪しい洞窟のような浴場入口に辿り着きました。この古めかしさが何だか妙に惹かれます。手前側が男湯で奥に女湯があります。浴場に入ると、簡易的な脱衣場があります。けっこう鄙びた雰囲気があります。そして浴場の扉がひとつありました。衣服を脱いで浴場に入ると、石造りの洞窟のようなところに湯舟がひとつだけあります。コンクリートの風呂になっていて、脇の滝のような湯口からジャバジャバと大量に湯が注がれていました。洞窟ではないけど、とても閉塞的な浴場なので、すごく蒸していて暑いです。でも雰囲気は怪しいけど、とても風情も感じます。さっそく掛かり湯をして湯舟に入ると、ツルッとした浴感があり、また、スーっと肌に染み込むような滑らかな湯でした。これはとてもいい感じです。洞窟状とはいえ、窓があり、外の明かりが射し込みます。とはいえ、山の谷になっていて、しかも木々に覆われているので、浴室内が明るいってほどではありません。とても雰囲気がいいのですが、蒸しているので暑くなってきました。汗が噴き出して止まらなくなってきたので出ることにしました。外に出ると、また妙な開放感があって爽やかな気分になりました。なかなかユニークな雰囲気の温泉宿です。悠悠閑閑と過ごしてみたくなりますね。ちなみに宿とはいいながらも、名前にもあるとおり、お寺にある温泉です。宿坊って感じなのですかね。お寺には薬師様が祀られているようで、帰りにはしっかりと拝んで帰ってきました。超穴場的な温泉で、秘湯好きの人にはおススメの温泉宿です。
掲載: 2011/10/23
Data
- 所在地:三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区
- 入浴 :2011年8月
- 泉温 :源泉16.5度
- 成分総計:0.43g/kg
- 形態 :山あいの一軒宿 男女別
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆
- 気軽度:☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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