秋田県
くろゆおんせん
黒湯温泉
湯けむりのあがる荒涼とした源泉、昔ながらの湯治場
田沢湖の北東、秘境の温泉地が点在する乳頭温泉郷は、その神秘的な雰囲気と大自然との関わりが魅力的な人気の温泉地です。その中でも一番奥地にある黒湯温泉は、延宝2年(1674年)頃に発見されたという老舗温泉地です。休暇村乳頭温泉郷の脇からブナ林を抜けるように奥へと向かいます。ところがこの道がけっこう悪路で、舗装が痛んでいるところが多くて、秘境ムードを一層盛り上げていました。やがて宿の駐車場が見えてきますが、実際に宿があるのはここから谷間を降りたところです。細く急な坂を下りていくので、足の悪い人は大変かもしれません。でも距離にしたら大したことないです。今回は立ち寄りでの利用ですが、乳頭温泉郷は湯巡りが盛んなので気軽に利用することができます。まずは正面にある受付で料金を払いますが、右手に行くと混浴の浴場、左奥へと向かうと男女別の浴場があります。まずは混浴の浴場へと向かおうとしましたが、夫婦らしき先客がいたので遠慮して先に男女別の浴場へと向かいました。自炊部の建物を抜けていくように奥へと向かいます。木造の昔ながらの建物というか、古民家風の佇まいが情緒を醸し出しています。源泉の湧き出る荒涼とした谷間の脇に湯小屋が建っていました。そこそこ大きなもので、素朴ながらも脱衣場もゆったりとしています。建物全体が木造なので、浴室も床から天井まで木造です。その中央に長方形の湯舟があり、トロトロと湯が注がれて溢れていました。黒湯というわりにはお湯はちっとも黒くありません。青白く白濁した湯です。透明度は1メートルくらいでしょうか、底に湯の華が沈殿しているので、湯舟に浸かると舞い上がって透明度は悪くなりました。それにしても雰囲気がいいです。まさにみちのくの湯治宿のイメージそのものです。外側には露天があり、こちらも開放的な雰囲気です。目の前には荒涼とした噴煙地帯が広がっています。その先の高台に茅葺き屋根の建物が見えるのですが、こちらは離れの客間だそうです。さて、そろそろ混浴の方に行ってみましょうか。先客は出て行った後なので貸切状態でした。入口を入ると手前側に男性用、奥に女性用の更衣室があります。そして右手には内湯、正面には露天が見えました。内湯は男性と女性とで入口が違いますが、右側か左側かの違いだけで同じ湯舟です。そんなに大きな湯舟ではないので、男性の先客がいると女性は入りづらいでしょうね。その奥には打たせ湯がありました。打たせ湯はかなりぬるい湯です。ちょっとぬるすぎる気がします。露天は東屋のついた開放的な湯舟です。目の前の谷間のあちらこちらから湯けむりがあがっていて、とてもワイルドな雰囲気です。湯のサラサラと流れる音だけが響き渡り、とても極上の気分です。こちらの湯舟も狭いので、女性には厳しいように感じます。もう少し湯舟を大きくすればいいのではないかと思いますが、どうなんでしょう。人の少ない時期に宿泊で利用した方が存分に楽しめますね。ちなみに洗い場にボディソープやシャンプー類が用意されていましたが、こういうところでは場違いな気がして使いませんでした。やはりニーズがあるから置いているのでしょうかね。秘湯ムードも湯治場ムードも満点で、やはりどうせなら宿泊してのんびり過ごしたいと思わせる宿でした。
掲載: 2014/09/11
Data
- 所在地:秋田県仙北市田沢湖生保内
- 源泉名:黒湯温泉(黒湯下)
- 入浴 :2013年5月
- 泉質 :単純温泉
- 泉温 :源泉57.1度
- PH :4.0
- 蒸発残留物:150mg/kg
- 形態 :湯治場 混浴・男女別
- 露天風呂:あり
- 脱衣所:あり(女性専用あり)
- 開放度:☆☆☆☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 野趣度:☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆☆
- 人気度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆☆
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