秋田県
おおがまおんせん
大釜温泉
村の分教場のような懐かしさを感じる温泉
秋田県の乳頭温泉郷は魅力的な温泉が点在する人気の温泉地です。それぞれの温泉は湯治場としても人気があり、名湯から秘湯までさまざまなタイプの温泉があります。大釜温泉は妙の湯温泉のすぐ隣にある一軒宿です。黒塗りの外壁の板が特徴的な木造の建物で、とても目立つ存在です。妙に味のある建物だなぁと思ったのですが、それもそのはず、この建物は廃校になった小学校を移築して再利用しているのだそうです。なるほど門構えも昔の学校風で、玄関上には丸い時計があったり、庭先には二宮金次郎像があったりと、なんとなく学校らしさがありますね。開湯当時の昭和37年(1962)にはもともと別の建物があったようですが、その後に火災で焼失した際に古い校舎を移築してリニューアルしたのだそうです。玄関の手前側には足湯もありました。小判形の小さな湯舟が3つ並んでいて、木造のベンチがあります。こちらは自由に利用できるようです。浴場は館内の廊下を奥に突き当たったところにありました。宿の規模はそんなに大きくもないのですが、シンプルながらもゆったりとした脱衣所です。さっそく浴場に入りますが、まずは大きな内湯があります。内湯は右側に洗い場があるのですが、なんか違和感のある造りです。洗い場の部分だけ、一段高くなっていて、無理やりこしらえた感があるのです。おそらく洗い場の部分だけ増築したのでしょうね。浴室は大きく太い梁が通った木造の浴舎で、黒光りした質感など湯治場らしい素朴な雰囲気が漂っています。湯舟は大きなものが中央にドンと構えていました。湯は青白く白濁していますが、少し緑色っぽくも見えます。壁から延びるパイプと、木の樋からジャンジャンと湯水が注がれていて、湯舟からも大量に溢れ出ています。湯量が豊富だというのはわかりますが、見ていてもったいないと思うくらい豪快に注がれていました。温度はちょうどいいような少し熱いような感じです。湯舟はけっこう深めなので、どっぷりと浸かるような感覚がありました。ちなみにパイプから注がれているのは、冷たい水でした。湯の温度が高いのでしょう、水でうめながらでないととても入れる温度ではなさそうです。奥側の扉を出ると露天風呂があります。露天ははけっこう広々としていて、手前側に大きい湯舟、奥には小さい湯舟がありました。大きい湯舟はうまく温度調節ができていないようで、かなりの熱湯です。一周まわってどこか入れるところがないかと探ってみましたが、とても触れる温度ではありませんでした。小さい方はちょうどいい温度になっていたので、そちらで我慢することにしました。周囲は壁に囲まれているものの、裏山に面しているので森から吹く風がとても心地よかったです。とてものんびりとした雰囲気と素朴な湯治場の雰囲気がうまく重なって、心地よいひとときを過ごすことができました。
掲載: 2014/09/16
Data
- 所在地:秋田県仙北市田沢湖田沢字先達国有林
- 入浴 :2013年5月
- 泉質 :含鉄−単純酸性泉(低張性酸性高温泉)
- 泉温 :源泉94.2度
- 湧出量:毎分66リットル
- PH :2.5
- 蒸発残留物:0.968G/KG
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 野趣度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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