山口県
おうじおんせん・せいりゅうかん
王司温泉・清龍館
住宅街の中にあるひっそりと隠れた名湯
下関市の郊外、員光町の住宅街の中にある王司温泉は、知る人ぞ知る超穴場な温泉です。今回初めて入浴することになりましたが、実は前々からその存在は知っていたにも関わらずなかなか入れない温泉でした。最初は地図でその存在を知ったのですが、いざ調べてみるとまず情報量がとても少ないのです。住所がわかったので近くまで来てみても、温泉施設らしきものは見当たりません。かろうじてバス停に「王司温泉」とあるので、この近くにあるのだろうけど、その施設そのものが見つからないのです。もしや廃業かと諦めかけたところで、地元の住人らしき人を発見したので温泉のことを聞いてみると、ここだよと言われました。どうみても単なる民家です。すごいところを発見してしまったなと思ってワクワクしたのですが、残念ながらその日は休みだということで諦めました。その後、何度か近くまでは行く機会があっても、休業日だったり、営業時間が午後からということもあり、なかなかタイミングの合わない温泉施設でした。今回は15年越しぐらいでようやく念願の初入湯です。場所はわかっていたのですんなりとその民家には辿り着きましたが、いったいどこで受付をするのかわかりません。うろちょろしていると向かいの家の人が、そこだよと奥まったところにあるドアを指差しました。するととても愛想のいいおばさんが出てきて、「はじめてですか?」と聞くので、そうですと答えると、その手前の建物の奥に入口があり、入浴は40分まで、その他注意事項は中に書いてあるからと説明してくれました。さて、その温泉の建物ですが、やはりこれも浴舎なんかには見えません。ふつうの建物です。ただ、手前側の扉に「女湯」と書かれていたので、よく見れば浴場だということがわかります。さっそく反対側にある男湯の扉から中に入ります。するとすぐに脱衣所です。思いのほか綺麗なので、改築でもしたのでしょうか。小ぢんまりとした脱衣所には棚にカゴが並んでいます。裸になって浴場に向かいますが、扉を開けるとこちらは何だかかなり年季の入った古びた雰囲気があります。コンクリートだけの素っ気無い雰囲気の浴場で、窓から明かりが入りますが照明はひとつだけなのでとても暗い感じです。手前側には蛇口が3つ並んでいましたが、捻ると水が出てきます。源泉なのでしょうか、無色透明ながらも飲んでみるとミネラル的な臭みのある水でした。湯舟はわりとゆったりとした感じですが、セメントモルタルの砂利の粒がザラザラとしていて、やはり年季を感じます。蛇口の水は冷たいので、とりあえず湯舟の湯を直接汲んで体を流しました。とってもさっぱりとしていますが、ちょっと浸かっているだけでジンワリと熱くなってくる感じがします。かなり温熱効果も高いようですね。夕暮れ時にお邪魔したのですが、先客が帰ってしまうとシーンと静まりかえって、薄暗くて、なんだか心細くなるような雰囲気があります。でも決して嫌な雰囲気ではありません。ローカルな秘湯ムードです。なんだか久しぶりにそんな素朴な温泉にめぐり合えたって感じで、とてもドキドキとした刺激的な時間を過ごさせていただきました。
掲載: 2014/12/31
Data
- 所在地:山口県下関市員光町
- 入浴 :2013年12月
- 泉質 :単純弱放射能温泉
- 泉温 :源泉29.6度
- 湧出量:毎分94.8リットル
- PH :7.77
- 蒸発残留物:0.820g/kg
- ラドン含有量:54.87×10-10Ci/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :痛風、動脈硬化症、高血圧症、慢性胆嚢炎、胆石症など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :
- 総合評価:☆☆☆
温泉レポートを検索