長野県
こやすおんせん
子安温泉
安産の神として知られる子安神社が近くにある療養泉
長電長野線須坂駅から車で20分ほど、県道351号線沿いの山の中に子安温泉があります。平成3年(1991)創業ということで、まだまだ新しい温泉施設ですが、その素朴さと泉質の良さから、地元の人々に愛されているという人気の湯ということで、さっそく訪れてみることにしました。この辺りになると、田園地帯から山林地帯に入るぐらいのところで、とても緑豊かなところになります。最後に脇道に入って坂道を登っていくのですが、杉林の中に素朴な木造の小屋が建っていて、秘湯ムード漂う佇まいに圧倒されます。木漏れ日の中に建つログハウスのような印象から、知る人ぞ知る秘境の温泉っぽい雰囲気があるのですが、けっこう人気があるようです。昼前ぐらいに訪れたのですが、駐車場にはわりとたくさんの車が並び、それなりに混雑しているようでした。ちょうどゴールデンウイークの真っ最中だったこともあり、地元の方々だけでなく遠方からも来ているようでした。正面に受付脇には自動券売機があり、さっそく受付をしてみます。すると施設内にはロッカーがないので、貴重品は車に置いてきて欲しいとのことでした。駐車場は受付のすぐ目の前なので、一応、目が行き届く感じですので安心です。建物は木造平屋建ての本当に小ぢんまりとした素朴なもので、脱衣所の奥には内湯があるだけの、湯治場のような雰囲気が漂います。また、浴室には洗い場がなく、体を流して湯に浸かるだけの施設のようです。さっそく浴室に入ると、これがまたインパクトのある衝撃的な光景を目にします。それというのも、小さな浴場の中心に湯舟があり、その湯は透明度が10センチほどしかない黄土色をしたものなのです。また木の香りに混ざって、温泉の金気臭もします。まさに「The湯治場」って雰囲気がたまりません。湯に浸かると意外とあっさりとした浴感です。ボイラーで加熱してはいるもの源泉掛け流しということで、ちょっと味見をしてみます。すると、しょっぱいようなすっぱいような、鉄錆びのようなキリッとして濃厚な印象がありました。隅に置いてある掛かり湯は、同じような印象の湯ながらとてもぬるかったので、こちらは源泉非加熱なのでしょうかね。それにしてもさすが療養泉を名乗るだけあって、肌にしみ込む感覚があり、薬効豊かな印象を与えてくれますね。最初は混雑していた浴室ですが、昼ぐらいになると急に人が少なくなりはじめました。そうすると浴室内は湯のチョロチョロと流れる音と、ボイラーの低く鈍い音だけが響きわたり、時間の流れが急にゆっくりになったような錯覚に陥るほど静かになりました。天窓から射し込む光を浴びながら、まさに至福のときを過ごすことができました。ただ、ちょっと料金は高めな気がします。特に何の設備もない施設なので、コストパフォーマンスは低く感じます。ただ、帰り際に「コーヒーやお茶のサービスがあるからゆっくりしてって」とアットホームな対応もあったので、のんびりと過ごす人にとってはいいかもしれませんね。温泉施設の坂のすぐ下には蕎麦屋があり、ちょうど昼飯時だったので立ち寄ってみました。こらちは蕎麦屋っていうよりもカフェといったモダンな雰囲気で、妙なミスマッチさが、洒落ているなと感じました。美味しいそばも食べることができ、また機会があれば立ち寄りたい温泉のひとつとなりました。
掲載: 2016/07/04
Data
- 所在地:長野県上高井郡高山村牧
- 入浴 :2014年5月
- 泉質 :ナトリウム・カルシウム−塩化物温泉
- 泉温 :源泉35.4度
- 湧出量:毎分82.2リットル
- PH :6.5
- 蒸発残留物:8825mg/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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