福岡県
ふつかいちおんせん・はかたゆ
二日市温泉・博多湯
創業万延元年、源泉掛け流しの癒しの空間
福岡県というと温泉街がある温泉地のイメージがあまりないところのような気がします。そもそも老舗の温泉と呼ばれるものが少ないのではないでしょうか。ところが福岡県のほぼ中央付近、二日市には1300年の歴史があるという二日市温泉があります。万葉集にもこの温泉を詠んだ歌があるそうで、歴史の重みを感じることができる温泉地のようです。今回は電車旅の途中で立ち寄りたかったので、駅から徒歩圏の温泉施設を探していたところ、ここを思い出して立ち寄ってみました。二日市の駅からは徒歩で10分ほど、駅周辺はあまり温泉地って感じはありませんが目的地に近づいてくると様子が変わってきます。そして辿り着いたのが博多湯です。道を挟んで目の前には御膳湯もあり、どちらに入浴しようか悩みましたが、この風情ある佇まいに惹かれて入ってみました。見た目には温泉浴場という感じはなく、むしろ和風旅館です。木造の古風でありながら、どこかモダンな気配さえも感じます。本当に浴場なのかと疑りながら玄関を入ると下足箱のすぐ前にカウンターがあります。館内はとても綺麗でまだ新しさを感じるぐらいの清潔感があります。でも実はこの博多湯は二日市温泉の中でも老舗中の老舗だそうで、万延元年(1860)に創業したのだとか。浴場はすぐ左側に入口があります。脱衣場はコイン返却式の木造ロッカーがあり、思っていたよりも小ぢんまりとした雰囲気です。そしていざ浴室に入ろうとすると階段があり、数段下がったところに浴室がありました。半地下ってほどではないにしろ、少し低い位置に浴室があるようです。こちらもやはり小ぢんまりとしていますが、雰囲気は何ともいいようのないぐらい情緒に溢れたものです。まず階段のすぐ正面に掛かり湯があるのですが、トロトロとお湯は溢れ、床に黒い跡を残しながら流れています。湯そのものは無色透明の綺麗なものですが、温泉の成分によるものでしょう。そういえば浴室内に入ったとたんにミネラル臭というか、硫黄のような仄 かな香りに包まれています。洗い場は5つほど、湯舟は10名くらいは入れる大きなものがひとつ、石垣のような壁に岩風呂となっています。湯舟からはなみなみと湯が溢れ、そのまま砂利を敷き詰めたようなコンクリートの床に流れて広がっています。完全な掛け流しになっているようですね。これまた豪快で贅沢な気分です。いつも混雑しているそうですが、なるほどこれだとすぐに混雑していまいますね。平日の真昼間だったこともあり、このときはほぼ貸切状態で利用することができました。湯舟の湯は熱すぎずぬる過ぎずって感じで、どっぷりと湯舟に体を沈めながらじっくりと温泉を楽しむことができます。余計な演出のない素朴な感覚がまた何とも言えません。肩の力が自然と抜けていく感覚って、まさにこんな感じなのでしょうね。すごくリラックスした気分で浸かることができました。浴後は2階の休憩室を利用することができます。まさにこちらも旅館のような感じです。しかもこれだけ安らぎと癒しを与えてくれているのに、料金がとても安いのにも驚きです。また何度でも訪れたくなるような素晴らしい温泉でした。
掲載: 2017/05/24
Data
- 所在地:福岡県筑紫野市湯町
- 源泉名:博多湯
- 入浴 :2016年6月
- 泉質 :単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
- 泉温 :源泉42.0度
- 湧出量:毎分157リットル
- 掘削深度:260メートル
- PH :8.2
- 成分総計:0.62g/kg
- ラドン含有量:22×10-10Ci/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :火傷・皮膚炎・神経痛・筋肉痛・関節痛・慢性消化器病・痔疾など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆☆☆
- 人気度:☆☆☆☆☆
- レトロ度:☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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