鹿児島県
じゅさぶろおんせん
十三奉行温泉
新しいのに古代遺跡のような発掘感がたまらない
出水市の郊外、野田に十三奉行温泉というのがあります。ずいぶんと古風で意味ありげなネーミングに惹かれ、訪れてみることにしました。国道504号線から少し山を登ったところにあります。ほんの少しだけしか登っていないのに、すごく長閑な雰囲気の場所にありました。ここは小さな公衆浴場ですが、わりと最近リニューアルされたものだそうです。以前を知らないので比較のしようがありませんが、とりあえず行ってきました。道路沿いには看板と駐車場が見えますが、建物を回りこんだところに玄関があり、その正面にも駐車スペースがあります。週末の夕方に訪れたのですが、それなりに繁盛しているようです。とても小ぢんまりとした施設のようですが、新しいのでフレッシュな雰囲気が漂います。玄関を入ると正面に入浴札の自動発券機、そして受付があります。浴室は左側にありますが、ちょっとしたミニロビーみたいなものもありました。脱衣所は棚にカゴ、それとコイン返却式のロッカーが少しだけあります。小ぢんまりとしたシンプルながらも、新しいので綺麗で清潔的です。ここまではいたって普通の公衆浴場です。さて、浴場に入るとまずは洗い場がありました。浴室は手前側と奥側の2つの部屋がくっついていて、その手前側が洗い場、奥が湯舟となっているようです。洗い場は左右それぞれに四つずつのカランがあります。ボディソープなどの石鹸類は用意されていないので、各自で持ち込む銭湯スタイルです。続いて奥の湯舟のエリアに向かうと、そこはゆったりと大きな湯舟が2つ並んでいます。また、手前側には掛かり湯と、五右衛門風呂のような小さな水風呂が2つ並んでいました。まずここで湯舟のインパクトが大きいです。なんと表現したらいいのか、まるで博物館に展示されている古代遺跡のような雰囲気なのです。非常に解りづらい表現になってしまいましたが、湯舟は右側が細長い湯舟、左側はゆったりとした大きな湯舟です。注がれる湯量の割合に応じてか、小さい方が熱く、大きい方がぬるくなっているようです。そして注目すべき点は、湯舟の堆積物です。リニューアルしてそれほど年月は経っていないはずなのですが、温泉成分にすっかりコーティングされてしまっていて、湯舟全体が乳白色なのです。カルシウムなどの成分を多く含んでいるのか、鍾乳石のようなものでコーティングされています。湯舟の周辺は綺麗なので、おそらく念入りに清掃はされているんでしょうね。その質感が古代遺跡の発掘現場のようで、また天井も高くゆったりとしているので、博物館のように感じたのかもしれません。湯は小さなパイプから注がれていますが、その周囲はまさに鍾乳石です。こんなにすごいとあっという間にパイプも詰まってしまい、メンテナンスも大変だろうなぁと勝手に苦労を妄想してしまいます。日によってお湯の色が違うそうなんですが、今回はほとんど無色透明です。こんな綺麗な湯がこんなに湯舟を犯してしまうなんて、すごすぎます。浴場は内湯のみで露天なんかは無いのですが、何だかその凄さがヒシヒシと伝わってくるのです。とにかく一見するとシンプル、でも何だかすごいって感じです。また、湯の質感もギシギシとしていそうで、ずいぶんと滑らかなところも素晴らしいです。予想に反した感触が心地いいんです。ちなみに注がれる熱い湯をちょっと舐めてみると、しっかりとしたショッパさがありました。そのせいか、非常にあたたまりもいいです。サウナもないのに水風呂があるのが、これで納得できました。非常に重宝でき、気持ちよかったです。ということで、病み付きになりそうなぐらいいい湯だったので、是非また機会があれば再訪してみようと思います。
掲載: 2019/06/10
Data
- 所在地:鹿児島県出水市野田町下名
- 源泉名:野田10号
- 入浴 :2018年6月
- 泉質 :ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉(低張性、中性・高温泉)
- 泉温 :源泉47.5度
- PH :6.9
- 蒸発残留物:4.572g/kg
- ラドン含有量:0.57×10-10Ci/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 秘湯度:☆
- 素朴度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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