鹿児島県
くりのだけおんせん・なんしゅうかん
栗野岳温泉・南洲館
複数の源泉と個性ある浴場が楽しめる
栗野岳温泉は霧島連山のひとつ、栗野岳の西麓にある一軒宿の温泉地です。栗野岳といえば、小学校の国語の教科書に「大造じいさんとガン」という作品があって、その舞台となったところという印象がありましたが、ハイキングやアウトドアレジャーで人気があるところのようです。その栗野岳の登山道の入口近くにあり、この温泉もまた登山客に人気があるようです。日帰りでの入浴も可能ということで、立ち寄りで入浴してきました。正面には西郷どんのパネルがあり、手厚く出迎えてくれています。西郷どんもこの温泉に1ヵ月ほど逗留して、とても気に入っていたのだそうです。正面左に行くと受付がありました。ここは竹の湯、桜湯、蒸し湯と3つの浴場があり、利用する数に応じて値段が変わるシステムとなっていました。なるほど、これなら全部利用したい人と、1ヵ所だけでいい人とで、釣り合いがとれますね。まずは左奥にある竹の湯に向かいます。廃湯が濛々と湯けむりを上げる谷間の横に小さな浴舎がありました。質素な脱衣場がり、そしてすぐに浴場がありました。湯舟は石のブロックで囲われ、壁も頑丈なブロックです。天井は木造です。天井意外は年季が入っているようで、古めかしさを感じます。そして何よりも、高い位置からドバドバと注がれる湯と、その湯舟がすごいインパクトです。それというのも湯が灰色なのです。キメ細かな泥が含まれているようで、透明度は10センチもありませんでした。冬場になると水量が減り、泥成分が多くなるそうです。このときは薄めだったのでしょうか、底にうっすらと沈殿している程度でした。かなり酸性が強いので加水されているそうですが、それでもそこそこの熱さがありました。スカッとする熱さで気持ちいい温度です。ブロック壁の奥にも何かあるようです。回り込んでみると、打たせ湯がありました。こちらはかなりぬるかったですが、気持ちいいです。お湯は舐めてみると酸味を感じ、泥というよりは金属的な粉っぽさを感じました。傷があると沁みるので注意です。さて、続いて桜湯に行きました。こちらは入口に近いところにある浴舎です。ここはかなり綺麗で、少し大きいです。でも浴室はいたって地味でシンプルです。広く明るい浴室の中央に四角い湯舟がひとつあるだけです。こちらは源泉が違うようですが、同じように泥の溜まった湯となっていました。打たせ湯のような激しい湯の動きがないだけ、こちらは泥成分が沈殿していて、透明度は40〜50センチほどありました。拡散するとみるみるうちに手足が見えなくなりました。こちらの湯は口に含むと、けっこう刺激的なすっぱさがあります。辛口の白ワインのような酸味と泥の粉っぽさを感じます。味覚的にはこちらの方が強いように感じたのですが、肌への刺激はこちらの方がマイルドに感じました。それにしても本当に静かです。このまま逗留してじっくりと味わいたくなる、そんな温泉です。今回は蒸し湯は利用しませんでしたが、宿泊してじっくり時間をかけて楽しみたいと思いました。
掲載: 2019/06/12
Data
- 所在地:鹿児島県姶良郡湧水町木場
- 源泉名:(竹の湯)栗野岳1号、(桜湯)栗野岳4号
- 入浴 :2018年6月
- 泉質 :(竹の湯)酸性・含鉄(U・V)-アンモニア-硫酸塩泉
(桜湯)酸性単純硫黄泉 - 泉温 :(竹の湯)源泉90.0度、(桜湯)源泉61.20度
- PH :(竹の湯)2.8、(桜湯)2.2
- 蒸発残留物:(竹の湯)2.418g/kg、(桜湯)0.458g/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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