山形県
ざおうおんせん・みはらしのやど こきょう
蔵王温泉・みはらしの宿 故郷
後からジワジワとお湯の底力が伝わってくる
蔵王温泉は山形県山形市、蔵王連邦の西麓にある老舗の温泉地です。温泉地の歴史はとても古く、日本武尊が東征の際に従軍した吉備多賀由が発見したとの伝承があるそうです。西暦110年頃の開湯というので、1900年以上の歴史があるということになりますね。また、歴史が古いだけでなく、人気のある温泉地で、特に冬場はスキーのメッカとして多くのスキーヤーで賑わう活気ある温泉地です。その温泉地の中ほど、蔵王中央ロープウェイのすぐ近くに、「みはらしの宿 故郷」があります。ロープウェイの乗り場からも徒歩ですぐなので、スキーなどのウインタースポーツにも便利な立地にある宿です。今回は冬の終わりのシーズンに訪れましたが、スキーが目的ではなく温泉が目的です。湯めぐりを楽しみにやってきました。とてもリーズナブルな料金ながらも源泉掛け流しのこだわりの温泉、そして美味しい料理が楽しめるということで、クチコミの高さもあって予約して訪れてみました。たどり着くと、けっこうイケメンな感じの若い男性スタッフが対応してくれます。とても気さくで男性から見ても好感の持てる感じの人でした。宿はフロントのある部分が3階で、階段でおりた先の1階に浴場があります。館内にエレベーターが無いので、足腰の弱い人には億劫な施設かもしれまぜん。チェックインを済ませたところでさっそく浴場に向かいます。1階の廊下を右奥へと進むと扉があり、その先に浴場の入口があります。客室のある建物とは別棟になっているようです。男湯、女湯、そしてその間に貸切風呂があります。浴場は24時間入浴可能ということで、朝まで好きなときに入れるというのは嬉しいです。貸切風呂は空いているときには自由に利用できるとのことで、これも嬉しいサービスですね。まずは手前側にある男湯に入りました。宿の規模はそんなに大きくはないので、浴場の規模も小さめです。小ぢんまりとしながらもスッキリと機能的な脱衣場で、浴室も小ぢんまりとした雰囲気ながらもシックで落ち着いた雰囲気があります。床は黒いタイル張りで、そこに浴槽が大小2つ並んでいます。どことなく東北を意識させるノスタルジックな浴場です。ふたつの湯舟の間に大きな岩があり、そこから湯が注がれていました。大きい湯舟には直接流れ込んでいて、けっこう熱めの湯です。小さい方にはパイプを通じて少なめに注がれているので、とてもぬるくなっているようです。チェックインしたばかりで誰も利用していなかったため熱く感じましたが、中に入ってみとる熱いのは表面だけでむしろ底の方はぬる目でした。そして底には白い粉のようなものがたくさん沈殿していて、体を動かすとフワッと舞い上がります。湯は透明度は高いながらも粉が舞うと真っ白になります。硫化水素の香りがプンプンと漂う本格的な硫黄泉で、刺激が強いのかと思いきや、すごく滑らかな印象の湯です。第一印象はとても柔らかい感触です。気持ちがいいのでリラックスしていると、やがてキシキシと肌に刺激を感じてきて、小さな傷やかさぶたがピリピリと痛み始めます。それはどんどんと強くなり、耐え切れなくなったところで湯を上がりました。大人しそうに振る舞いながらも、油断していると刺激の強さに驚かされる湯です。でもその分、しっかりと肌には効いているようで、艶々とした肌の質感になりました。そして体もポカポカと温まり、とてもすっきりと気持ちのいい湯でした。ここでは加水することなく、源泉100パーセントの掛け流しでお湯を楽しめるということで、その濃厚な温泉を存分に堪能することができました。ちなみに、宿の料理は一見すると地味ながらもとても味付けがよく、幅広い層に評価されそうないいものでした。ここを定宿にしている人がいるそうですが、その気持ちがわかるくらい居心地のいい宿でした。
掲載: 2019/09/15
Data
- 所在地:山形県山形市蔵王温泉
- 源泉名:湯左の沢1号、2号混合源泉
- 入浴 :2019年3月
- 泉質 :賛成・含硫黄-硫酸塩・塩化物温泉
- 泉温 :源泉53.7度
- PH :1.8
- 蒸発残留物:2245mg/kg
- 形態 :温泉宿 男女別
- 効能 :アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆
- 異色度:☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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