福島県
ゆのはなおんせん・てんじんのゆ
湯の花温泉・天神の湯
川のせせらぎを楽しみながら素朴を味わう
湯ノ花温泉は福島県の南西部、緑豊かな山間にある南会津町にある素朴な温泉地です。とても静かでのんびりとした雰囲気のある小さな集落ですが、温泉の歴史は古く、700年もの間、人々に愛されてきたそうです。温泉街には歓楽的な要素はなく、小さな旅館や民宿などが点在していて、長閑な田舎風景が広がります。その温泉街には4つの素朴な共同浴場があり、一日券を購入すると、どれも入り放題という、とても太っ腹な制度がうれしいです。湯ノ岐川沿い、湯ノ花大橋のたもとにある小さな共同浴場が天神の湯です。実はここの共同浴場の存在をまったく知らなくて、近くの商店で入浴券を購入時にお店の人に教えてもらい、さっそく行ってきました。橋のたもとということですが、一見すると風景に取り込まれてしまっていて、まったく目立ちません。なるほど見落とすわけです。大きな蔵の脇にポツンとあります。とても簡易的な雰囲気のある小さな浴場で、扉を開けるとすぐに脱衣場で、その先には湯舟があります。出入口には男湯、女湯の区別はなく、入るといきなり浴場なので、当然のことながらここは男女混浴です。すごく小ぢんまりとしているので、さすがに先客がいると女性は入りづらい、とてもハードルの高そうな印象ですが、わりと穴場的な存在のようにも感じます。このときも他には誰も利用していませんでした。脱衣場は棚にカゴ、そして温泉分析表があります。そして湯舟は大小2つありました。大きい方といっても、むしろこれでも小さい湯舟なのですが、小さい方はかなり小さいです。まさかペット用なんてことはないだろうから、幼児用ということでしょうか。大人でも1人なら入れる大きさです。どちらもコンクリートで整備されただけの無垢なもので、その素朴さが情緒にさえ感じます。さっそく湯舟に向かいますが、大きい湯舟にある湯の注ぎ口には座椅子がひっかけられていて、湯舟に注がれるはずの湯が外に溢れ出ています。誰かのイタズラのようにも見えますが、きっと何か意味があるのだろうと近づくと、溢れ出ている湯はとんでもなく熱く、その床を歩くだけでもアチチとなってしまいます。それでいて湯舟には少量しか入り込んでいないので、湯舟の温度は絶妙なくらいに適温でした。うまい具合に調整されているので驚きです。湯は無色透明で、すごく柔らかな印象です。肌に馴染むような優しさと、ツルンとした滑らかさが印象的でした。小さい湯舟と大きい湯舟は一本のパイプでつながっていて、大きい方から小さい方へと流れているようです。なので小さい湯舟はさらに温度が低く、とてもぬるくなっていました。やはり幼児用かもしれません。とても小ぢんまりとした浴室ですが、窓からは脇の川と橋が眺められます。また、とても静かなので湯の注がれる音とともに川のせせらぎも間近に聞こえました。すごくのんびりとしたいい雰囲気で、もう出たくなくなってしまうくらい、気持ちが良かったです。また次の機会にも是非立ち寄ってみたいと感じました。
掲載: 2019/10/09
Data
- 所在地:福島県南会津町湯ノ花
- 源泉名:清滝の湯
- 入浴 :2019年6月
- 泉質 :単純温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
- 泉温 :源泉60.5度
- 湧出量:毎分31.1リットル
- PH :8.2
- 蒸発残留物:577mg/kg
- 形態 :共同浴場 混浴
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:なし
- 脱衣所:あり
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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