福島県
ゆのはなおんせん・こうぼうのゆ
湯の花温泉・弘法の湯
弘法大師に守られている素朴な共同湯
湯ノ花温泉は福島県の南西部、緑豊かな山間にある南会津町にある素朴な温泉地です。とても静かでのんびりとした雰囲気のある小さな集落ですが、温泉の歴史は古く、700年もの間、人々に愛されてきたそうです。温泉街には歓楽的な要素はなく、小さな旅館や民宿などが点在していて、長閑な田舎風景が広がります。その温泉街には4つの素朴な共同浴場があり、一日券を購入すると、どれも入り放題という、とても太っ腹な制度がうれしいです。4つの共同浴場の中でも一番大きな施設が弘法の湯です。一番大きいとはいってもとても小ぢんまりとしたものです。脇には大きな槙の木が植わっていて、すごく風情のある佇まいです。館内に入ると下足箱があり、その先にはちょっとしたロビーが広がります。右手側に男湯、女湯、それぞれの入口がありました。また、貴重品用にロッカーも用意されています。他の浴場はけっこう簡易的な雰囲気がありますが、ここはとてもしっかりとした感じの浴場のようです。脱衣場は棚にカゴが並びますが、とても小ぢんまりとしています。ガラス戸をあけると浴室です。シャワーが2基、そして大きめの湯舟があるだけのシンプルなものです。床や湯舟にはタイルはなく、コンクリートで整備されただけの質素なものですが、ローカルな雰囲気があってとてもいいです。湯舟は大人4人ほどがゆったりと入れるぐらいの広さです。ほとんど無色透明の熱い湯が注がれています。湯舟がそこそこ大きい分だけ、湯舟の温度はそんなには高くありませんでした。とても滑らかさを感じる柔らかい印象の湯で、ツルンとした滑らかな感触がすごく気持ちがいいです。浴室はシンプルですが、窓があるので明るく、また天井が高く外気とつながっているので、とても爽やかな印象の内湯です。ちなみに外の景色は、すぐ脇の道路が見えるぐらいです。むしろ、外を歩く人と目が合ってしまったりして、それぐらい大らかな印象の湯でした。そういえば、先ほどまで春らしい春和景明の陽気でしたが、急に風が強くなり強風が吹き荒れてきました。春の天候は移り変わりが激しいですね。浴後、ロビーで休んでいると、天井に何か収納されているのに気が付きました。古めかしい木箱のようなものです。中には何が入っているのでしょうか、弘法大師と何かゆかりのあるものがあるのでしょうか。待合所の壁に説明があったので読んでみると、1912年に田代山を開山した際に、山頂に大師像を設置し、そしてもう一体、この湯ノ花温泉にも設置したとのこと。そのときに大師像を運んだカゴとのことでした。大師像は地元の方々に篤く信仰されていたそうですが、数年前に盗まれてしまったとも書かれています。いくらなんでもそういうものを盗むのっていうのは、理解ができません。今はどこにあるのかわかりませんが、無事に戻ってくることを願います。
掲載: 2019/10/09
Data
- 所在地:福島県南会津郡南会津町湯ノ花
- 源泉名:清滝の湯
- 入浴 :2019年6月
- 泉質 :単純温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
- 泉温 :源泉57.2度
- 湧出量:毎分34.4リットル
- PH :8.1
- 蒸発残留物:892.6mg/kg
- 形態 :共同浴場 男女別
- 効能 :自律神経不安定症、不眠症、うつ状態など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 地元度:☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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