福島県
とくさおんせん・ひろせのゆ
木賊温泉・広瀬の湯
素朴で古風な佇まいながら快適な共同湯
福島県南会津町、静かな山間にある木賊温泉は、平安時代の治暦元年(1065)に発見されたという開湯伝説がある老舗の温泉地です。植物のトクサが群生していたことから、温泉名がついたとのことで、緑豊かなとても静かな雰囲気があります。とても辺鄙な山の中ですが、小さな集落には旅館や民宿がいくつかあり、静養向けの情緒漂う人気の温泉地です。その集落のはずれ、田畑に囲まれた静かな場所にポツンと佇む共同浴場の「広瀬の湯」があります。地元の方々だけでなく、一般の方も利用できるというので訪れてみました。場所は長卸山登山口にすぐ目の前にあり、西根川の川沿いにあります。通りからもすぐ見えるし、看板もあるのですぐにわかるでしょう。木造の古めかしい浴舎で、とても情緒のある佇まいです。登山口には広めの駐車場があるので、さっそく訪れてみると、ラッキーなことに先客はいないようです。さっそく浴舎に近づくと、入浴は16時からとなっています。まだ昼過ぎなので誰もいなくて当然でした。ただ、時間前でも温度を見て入浴可能だったら利用してもいいという曖昧な掲示がありました。なので、定時の30分ほど前に再度訪れてみると、地元の方らしきクルマが2台停まっています。先客がいるということは入浴は可能なのだろうと、入ってみることにしました。館内に入るとすぐ正面に入浴券の自動券売機があります。管理人は不在で無人受付のようです。男湯は右で、女湯が左にありました。脱衣場はけっこう広めです。戸の無くなった戸棚が並び、シンプルで質素ですが、広いし清潔的だったのでわりと快適な印象です。浴室もわりと広めで、ゆったりと大きな湯舟が中央にドンと構え、奥に洗い場がありました。洗い場には固形の石鹸が用意されているのには驚きです。格安で利用できるのに、とても良心的です。また、シャワーは2基ほどありました。湯舟の湯は綺麗に透き通った無色透明の湯です。加温あり、消毒ありと書かれていましたが、気になるような消毒臭は感じませんでした。すごくあっさりというか、さっぱりとした印象の湯で、ごく微妙にツルッとした浴感がありました。時間前なのですごくぬるいのかと思いきや、むしろちょうどいいくらいの温度です。浴室は窓が大きくて明るいですが、脇の貯湯槽と雑草、そして林が見えるくらいで、特筆するような景色ではありません。すごく素朴なんだなぁと感じるぐらいですかね。そうこうしているうちに正規の営業時間になりましたが、先客はすでにあがり、その後入浴客は来る気配がありません。静かにトロトロと湯の流れる音を聴きながら、のんびりと浸かることができました。しばらくすると、女湯に方に地元のおばあちゃんらしき方々が数名入って来られたようで、ちょっとだけ賑やかになりましたが、男湯はその後もしばらく誰も来ませんでした。もっと夕方の遅い時間になると混みだすのかもしれません。それにしてもこの素朴感、すごく快適です。木賊温泉はそういった静かな温泉地なので、静かに温泉を楽しみたい人にはおススメの温泉です。
掲載: 2019/10/09
Data
- 所在地:福島県南会津町宮里字宮ノ本
- 源泉名:広瀬の湯
- 入浴 :2019年6月
- 泉質 :アルカリ性単純温泉
- 泉温 :源泉37.2度
- 湧出量:毎分32.0リットル
- PH :8.6
- 蒸発残留物:268.4mg/kg
- 形態 :共同浴場 男女別
- 効能 :自律神経不安定症、不眠症、うつ状態など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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