福島県
はやとおんせん・つるのゆ
早戸温泉・つるの湯
翡翠色のゆっくりとした川の流れを眺める河畔の宿
早戸温泉は三島町の只見川沿いにある素朴な温泉です。宝亀2年(771)の発見以来、1200年に渡って守り継がれてきた歴史ある温泉のようです。つるの湯はその歴史ある名湯を気軽に利用できる温泉施設です。湯治宿としても人気があるようで、素朴で小さな温泉地ながらも活気があるようです。国道から渓谷沿いに降りていくと「つるの湯」の駐車場に辿りつきます。「つるの湯」と書かれた小さな建物が見えますが、中に入るとそこはエレベータです。この駐車場の位置は3階にあたり、ここから1階の受付に向かいます。民芸調の古風な建物で、その素朴さに情緒を感じます。受付をして奥へと進むと正面には休憩所がありました。そこからはゆっくりと流れる只見川が見えます。とてものんびりとした静かな景色です。浴場は左側にありました。脱衣場の入口には貴重品用のロッカーがあります。脱衣所の中は棚にカゴが用意されているだけなので、貴重品は持ち込まないかこのロッカーを利用しましょう。浴室はまず内湯があります。正面に横にワイドな湯舟があり、手前側と奥に洗い場がありました。そんなに規模は大きくなく、むしろ小ぢんまりとした印象の浴場です。しかしながら、窓からは谷間を流れる川の景色が見え、とても絵になる光景です。湯舟の湯は赤茶けたような濁った湯です。右奥に小さな湯舟があり、そこからトロトロと流れ注がれています。この小さな湯舟は湯冷まし槽なので腰をかけたり体にかけないで下さいと書かれています。温度を計ってみると49度ほどありました。源泉温度が高いので冷ましながら湯舟に注いでいるようです。湯舟では熱すぎずちょうどいい温度でした。そしてこの赤茶けた湯ですが、温泉の成分がぎっしりと詰まっているようで、浴槽の縁や周囲は鍾乳石のように温泉の堆積物でゴツゴツとしています。匂いも鉱物っぽい硬い印象がありました。源泉投入口にはコップも用意されているので、飲泉も可能なのでしょう。さっそく飲んでみると、ほんのりと塩味があり、そしてマイルドな苦味のある湯です。スッと消える程度の苦味なので、とても飲みやすい湯でした。湯舟に浸かると意外とあっさりとした感じです。もっとギュッと締め付けられるような湯かと思いきや、さらっとしていてとてもマイルドな感覚がありました。続いて露天風呂に出てみます。こちらは洗い場の奥の扉から外に出ます。少しまわり込むように進んでいくと小さな岩風呂がありました。大人が3〜4名ほどでいっぱいになりそうな小さなものです。しかしながら、ここの景色はなかなか格別なものです。目の前の只見川を間近に眺められ、対岸に迫る緑の山を見上げ、なんともワイルドな景色です。川の流れもゆっくりとしているので、とても静かです。静かな川面を眺めていると、鳥や虫、魚の気配を感じ、自然を実感できます。気持ちよく利用することができ、なるほどこの湯とこのロケーションなら湯治のための逗留もいいかもしれないと思いました。
掲載: 2019/10/20
Data
- 所在地:福島県大沼郡三島町早戸
- 源泉名:早戸温泉源泉
- 入浴 :2019年6月
- 泉質 :ナトリウム−塩化物温泉(低張性中性高温泉)
- 泉温 :源泉52.9度
- 湧出量:毎分192.7リットル
- PH :7.0
- 蒸発残留物:5132mg/kg
- 形態 :湯治宿 男女別
- 効能 :きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症など
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆☆☆
- 人気度:☆☆☆☆
- レトロ度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
温泉レポートを検索