北海道
おんねとーゆのたき
オンネトー湯の滝
温泉によるマンガン鉱物の生成地
雄阿寒岳の西麓にオンネトー湖という神秘的な雰囲気の湖があります。かつて雄阿寒岳の噴火によりできた堰止湖とのことで、湖水が酸性なので魚が住棲まない静かな湖なんだそうです。オンネトー湖の南には湯の滝という温泉の滝があります。こちらもまた神秘的な雰囲気の滝ということで訪れてみることにしました。オンネトー湖を過ぎるとすぐに大きな駐車場があり、そこから徒歩で向かいます。起伏の緩やかな森林を抜けていくのですが、1.4キロほど、徒歩で20分くらいかかります。とてもワイルドな場所なので、熊除けの鈴を鳴らしながら行くのがいいでしょう。道はとても整備されているので、重装備は必要なさそうです。辿り着くと急に視界が開け、目の前には真っ黒な岩肌に白い筋を残しながら流れる幾筋もの滝が見えます。これが湯の滝です。湯の滝というからには濛々と湯けむりをあげているのかと思いきや、特にそんな気配はありません。流れている水に手を入れると、かなりぬる目ですがしっかりと温かい湯でした。それにしてもこの景色は只者ではありません。それぞれ交差しあいながら枝分かれをしていく滝は、落差が20メートルほどで、大規模ってほどでもないのかもしれませんが見応えは十分です。また、やたらと黒いのが気になります。なんとここは世界的にも珍しいというマンガン鉱物の生成地とのことです。あのマンガン電池の中にある黒い粉のことですよね。そのマンガンが底に蓄積されているのです。その生成地ということですが、それはなんとこの温泉に棲む微生物によって作られているとのことでした。今まさに生成中というのを観察できるのはとても貴重で、国の天然記念物に指定されているそうです。ちなみに滝の下がぬるいってことは、滝の上部は温かいのではと想像できることでしょう。実は以前は滝の上に池があり、そこが入浴に最適の場所だったようです。ところが、マンガン生成の微生物に影響が出ているということで、滝の上は進入禁止になり現在は見ることさえできなくなってしまいました。非常に残念ですが、守るべきものは守らなければならないので仕方がないです。それから、滝の下の湯溜りというか、池があるのですが、こちらには巨大なパイプが設置されて池に滝の湯が流れ込まないようになっていました。何をしているのかと思ったら、池の温度を低くするために滝の温泉が入らないようにしているとのことでした。どうしてそんなことをするかというと、こちらも人為的に持ち込まれたテラピィアやグッピーといった外来魚が繁殖し、微生物の棲みかになっている藻を食べてしまっているとのこと。その外来魚を駆逐するべく試行錯誤をしているとのことでした。確かに見たところ外来魚の姿は見えませんでしたが、まだ潜んでいるのかもしれません。ところが、池の一部からは湯けむりが上がっています。どうやらこの池にも直接湯が湧き出ているようです。これだと一向に池の温度は下がらないですよね。でも、魚が生息しているようには見えなかったので、すでに効果はでているのかもしれません。一度壊してしまった自然はなかなか元には戻りません。我々もこれからはより一層慎重に行動しなければならないことでしょう。
掲載: 2019/10/23
Data
- 所在地:北海道足寄郡足寄町
- 入浴 :2019年6月
- 形態 :湯の滝
- 露天風呂:なし
- 脱衣所:なし
- 開放度:☆☆☆☆
- 野趣度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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