鹿児島県

きりしまおんせん

霧島温泉

繁華街からも近いのにノスタルジックが止まらない
鹿児島の銭湯文化は近代化が進んだ現代も根強く残っでいるようです。と言うのも、鹿児島市は都市部であるものの、そこらじゅう掘れば温泉が湧き出る温泉天国です。昔ながらの銭湯も、温泉が当たり前のように使われていたりと、普通の銭湯よりも付加価値が高く、家庭に風呂が普及した今でも、銭湯が廃れにくいのではないでしょうか。そんなわけで、鹿児島の銭湯を楽しんでみます。向かったのは天文館通りなど、繁華街からも近く便利な場所にある「霧島温泉」です。早朝から営業しているので通勤前にひと風呂浴びてから仕事に行けるという、都会のオアシス的な温泉銭湯のようです。実際に訪れてみると、意外と地味で小ぢんまりとした外観です。もっと都会的でシャープな感じの施設かと思っていました。中に入るとこれまた予想外にノスタルジックな雰囲気に驚きます。昔ながらの番台があり、木造の質素な下駄箱。料金を払って上がると、全体的に年季の入った木造で、民俗資料館のような文化財級のレトロな佇まいです。歩くと軋むような床、黒光りした木造ベンチ、革のマッサージチェア、木目が浮き出た古びた板張りの天井。ここだけ時間がゆっくりと流れているのかと思うような、古き良き時代を感じさせてくれます。こんなにレトロなのにボロいというような印象はなく、しっかりと手入れがされているなという感じです。浴室もまたレトロというか、昭和の雰囲気があります。とても小ぢんまりとした浴室ですが、手前には小さなサウナがあり、中央には湯舟。両サイドの壁に洗い場が計15基。一番奥にあるのは水風呂でした。この水風呂も、ライオンの頭の形をした吐湯口で、シンプルながらも芸が細かいです。湯舟は手前と奥と2つに区切られていて、奥はジェット水流がありました。湯舟を二分している仕切りも、水面よりも低い位置なので、お湯も温度も同じです。ちょっと熱めの湯加減ながらも、しっとりとした感触のある湯です。ほぼ透明ですが、微妙に透明度は高くないようです。これだけ様々な浴槽や設備を配しているのも、鹿児島ならではのサービス精神ですかね。大きくもない、いやむしろ狭い浴室ですが、みょうに落ち着いた感じがあります。でも、また逆におおらかさも感じます。それは男女を仕切る壁の高さがとても低いのです。かべの上部はガラスブロックなので、人の気配もします。よほど長身の人でない限り、相手側が見えてしまうことはないので安心を。また、壁に描かれたタイル画も気になります。湖畔に寝そべる裸婦でしょうか?岩陰とかでもないので、露出狂っぽいところがユニークです。細かいところまで楽しませてくれる温泉銭湯です。アクセスも悪くないので鹿児島観光のついでに是非とも立ち寄ってみてほしいです。
掲載: 2021/04/16
Data
  1. 所在地:鹿児島県鹿児島市西千石町
  2. 源泉名:甲突川左岸41号
  3. 入浴 :2021年1月
  4. 泉質 :塩化物泉
  5. 泉温 :源泉48.1度
  6. PH :8.3
  7. 蒸発残留物:2.829g/kg
  8. ラドン含有量:0.1(百憶分の一キュリー単位)
  9. 形態 :温泉銭湯 男女別
  10. 効能 :切り傷、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病など
  11. 露天風呂:なし
  12. 開放度:☆
  13. 清潔度:☆☆
  14. 気軽度:☆☆
  15. 地元度:☆☆☆☆☆
  16. 穴場度:☆☆☆
  17. 鄙び度:☆☆☆
  18. 素朴度:☆☆☆☆☆
  19. 異色度:☆☆☆
  20. レトロ度:☆☆☆☆
  21. 景色 :☆
  22. 総合評価:☆☆☆☆