鹿児島県
ちくりんおんせん
ちくりん温泉
力強い生命の息吹を感じる隠れた名湯
鹿児島県宮之城町にあるちくりん温泉に行ってきました。鹿児島空港からクルマで30〜40分ほど、山を越えてやってくると田んぼの広がる長閑な田園風景です。その街の一角にその温泉施設はありました。通り沿いではなく一歩入ったところにあるので、ちょっとわかりづらいけど、案内の看板が大きく出ているので迷うことはほとんどないでしょう。たどり着いてみるとそこはとても広い駐車場がありました。ここはメインは家族風呂のようで、ずらりと小さな長屋のように浴舎が並んでいます。また、宿泊することもできるようで、その案内もありました。随分と手広くやっているようですね。今回は家族風呂ではなく大衆浴場を利用してみました。こちらは受付棟の中にありました。土曜日の午前中、何組か家族風呂を利用しているようですが、全体的な客は少なめです。大衆浴場の方はちょうど先客が帰るところで、他に客はいませんでした。料金を払って脱衣場に入ると、館内は垢抜けてなくどちらかというと地味な感じです。脱衣場にはコイン返却式のロッカーと棚、木目のくっきりと浮き出た板張りの落ち着いた雰囲気です。壁には温泉分析表と温泉に関する新聞の切り抜きが多数貼られています。ここの温泉とは関係なく、温泉全般的な話題や泉質についての記事が多いですが、それだけ「温泉」というものを意識している施設のようです。また、新聞の記事と関連してこの温泉を紹介しているなど、ここの泉質についても自信があるようです。浴室は小ぢんまりとした雰囲気はあるものの、まあまあの規模です。3.5×2メートルほどの湯舟とシャワー付きの洗い場が6基。嬉しいことに石鹸も用意されていました。さっそく体を流して湯舟に浸かりますが、こちらは軽くツルッと滑らかな感触のある湯です。こういう浴場はけっこう温度が高かったりしますが、ここはとても入りやすい温度です。ほとんど無色透明ですが、微妙に霞んでいるようにも感じる湯です。奥にある岩の湯口から注がれ、それと同じくらい湯舟からも溢れ出ているので、掛け流しになっているようです。味覚としてはミネラルがそこそこって感じですが、あまり癖のないマイルドな湯です。玄関前には飲泉場が設けられていたので、飲泉もできるようですが、飲用許可を得ているのは飲泉場だけなので、浴室の湯は飲まないように書かれていました。それにしてもツルツルとすごく滑らかで気持ちのいい湯なのですが、けっこうズッシリとくる湯です。ぬる目に感じていたけれども、後からジワジワと汗が出るくらい内側から温まります。とても不思議な泉質のようです。こういう底力のある湯というのも、温泉ならではの魅力ですね。結局、その後も利用者はなく、大きな湯舟をずっと独り占めでき、非常に快適に過ごすことができました。ちなみに名称の「ちくりん」はやはり「竹林」でしょうか? この施設内には竹林は見当たりませんでしたが、この近辺にはあちらこちらに竹林があるように思えます。ここら辺のありふれた風景なのでしょう。
掲載: 2021/08/23
Data
- 所在地:鹿児島県薩摩郡さつま町時吉
- 源泉名:宮之城その他12号
- 入浴 :2021年2月
- 泉質 :ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉(低張性、弱アルカリ性、高温泉)
- 泉温 :源泉48.3度
- PH :7.7
- 電気伝導率:0.1707 S/m
- 蒸発残留物:1.016g/kg
- ラドン含有量:8.4 Bq/kg (2.3×10-10Ci/kg)
- 形態 :大衆浴場 男女別 (家族風呂あり)
- 効能 :きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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