鹿児島県
かしはらおんせん
かしはら温泉
素朴で懐かしい、昔ながらの地元の温泉
薩摩郡さつま町にある「かしはら温泉」。ここは非常に素朴なのにとてもいい湯だということなのでワクワクと期待しながら行ってきました。場所は長閑な田舎集落にポツンとある感じで、少し奥まったところにあり、地元の方でもないととてもわかりづらい場所にありました。ナビに従って道を曲がると、ガタガタと舗装の悪い細い道です。普通に民家に続くような小道だったので、本当に入っていいものか躊躇しましたが、恐る恐る入っていくと、その奥に広めの駐車場と「かしはら温泉」と書かれた建物がありました。しかし、かなり鄙びた感じで、素朴というよりは古ぼけた感じです。一見すると既に廃業してしまったのかと思うくらい静かで、鄙びた佇まいです。どうやら先客がいるようで、駐車場には数台の車が停車しています。そうでなければ、引き返そうかと思うくらい静かでした。しかしながら、ここは大衆浴場の他、家族風呂や素泊まりの宿泊もできるらしいです。駐車場の奥へと進むと浴場らしき建物があり、男女別に扉がありました。料金所がそこには無さそうなので辺りを見渡すと、その奥の建物に受付があるようでした。さっそく受付に向かいますが、そこに待ち受けていたのは紐につながられた猫です。番猫でしょうか。受付には人がいなかったので、猫に話しかけようとしたら、「私は関係ないです」みたいな顔をしたので、とりあえず受付の中を確認します。すると奥の部屋におじいさんがいるようでした。しかしながら、こちらの存在に気付いているようですが、出てくる気はなさそうです。受付の台に料金を置くジェスチャーをしたところ、うなづいていたので、そのようにしました。ちゃんとコミュニケーションがとれてよかったです。浴舎は見た目からしてかなりボロというか質素で、扉に「男」とかすれた文字で力強く書かれています。中に入るとすぐに脱衣場ですが、けっこう広いです。年代物の温泉分析表が壁に掲げられていて、ベンチと棚、ガラス戸の奥には浴室が見えます。そのガラス戸の手前には、床の上に発泡スチロールの箱が置かれていました。うっすらと消えそうな文字で「カゴ入れ」と書かれているので、浴後に濡れた洗面用具を置く場所なのでしょう。脱衣場での洗面カゴや濡れタオルの取り扱いは、しっかりとしていないとトラブルの元になるので、こういう風に取り扱い方法が指定されていると助かりますね。また、出入口には珪藻土マットも敷かれていたので、機能的にはとてもしっかりと管理されているように感じました。浴室もまたゆったりとしています。大きな湯舟の手前脇には洗い場が3つ。シャワーもあるのですが、いつまで経っても水が出てきます。若干、ぬるくなってきたような気もしますが、早々にあきらめて湯舟から直接湯を汲んで体を流しました。湯舟の湯はほとんど無色透明のきれいな湯です。角の石組からパイプが突き出ていて、ドバドバと大量に流されています。湯舟からも大量に溢れて床を流れているので、完全な掛け流しなのでしょう。熱くもなく、少しぬるいかなってぐらいの温度ですが、浸かるとちょうどいい温度です。ゆっくりまったりと湯を楽しめそうです。浸かると全身をツルツルスベスベとした何とも言えない絶妙の浴感が体を包み込みます。なるほど、これはとてもいい感触です。ツルツルとはしながらも意外としっとり感のある湯で、肌にしみこんでいくような実感がありました。飲んでみるとミネラル+かすかな塩味っぽいものを感じます。あまり癖がなく非常にマイルドなので、冷やして飲んだらすごく美味しいような気がしました。温泉を飲んだからなのか、長湯したからなのか、浴後は非常によくあたたまり、汗がなかなか止まりません。窓から入ってくるそよ風にあおられながら、まったりと過ごしていると、非常に幸せな気分になります。やはり温泉は素朴が一番なのかもしれません。
掲載: 2021/08/23
Data
- 所在地:鹿児島県薩摩郡さつま町柏原
- 源泉名:かしはら温泉
- 入浴 :2021年2月
- 泉質 :炭酸水素塩泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
- 泉温 :源泉45.5度
- PH :8.1
- 蒸発残留物:1.208g/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :きりきず、やけど、慢性皮膚病、慢性消化器病、糖尿病など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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