鹿児島県
はんにゃじおんせん
般若寺温泉
大正元年から続く老舗の温泉宿
鹿児島県湧水町にある般若寺温泉に行ってきました。般若寺とはおどろおどろしいというかとても怖そうな名前の温泉なので、ちょっと気合を入れての訪問です。周囲はのどかな景色が広がる田園地帯の一角、集落の中にその温泉はありました。広めの駐車場もあり、正面には温泉マークと大きな文字で一文字ずつ「般若寺温泉」と書かれた看板のある建物があります。大正元年(1912)に創業したという老舗の温泉旅館だそうです。週末の昼過ぎに訪れたのですが、何だかとってもひっそりとしています。今日は臨時休業なのか?と不安になりながら様子をうかがうと、玄関前に横づけされた軽トラがあります。こういう場合、地元の常連客のケースが多いので、営業はしているのだろうと近づくと、玄関はあいているので問題なさそうです。しかし、それでもひっそりとしていて、館内はちょっと薄暗い感じでした。中に入るとそのすぐ脇に受付があります。誰もいないのかと思ったら、人がいてびっくり、向こうも急に客が現れてびっくりしていました。ちゃんと営業はしていたようで、利用金を払い目の前の浴場に向かいます。脱衣場は想像以上に広々としています。板張りのナチュラルな雰囲気で、脇には棚といくつかのカゴ。そして一部にはコインロッカーもありました。浴室もそれなりに広いです。広いといっても、もっと小ぢんまりとしているものを想像していたので、普通の規模といえば普通の規模です。外壁側に洗い場があり、内壁側に湯舟があります。湯舟は手前と奥とふたつありました。まず、浴室に入ってまず感じたのは、ずいぶんと鄙びた印象があることです。生憎の雨模様だったので、ちょっと薄暗い感じもあったことも一因かもしれませんが、とにかく鄙びた雰囲気です。それというのも、床がタイル張りなのですが、温泉の成分によるものでしょう、赤茶色に色付いています。そして浴室内の壁は石垣風なのですが、こちらも下の部分は変色していて、全体的にとても古びているのです。古びているといっても汚らしいわけではなく、いい感じの情緒が生まれているので、むしろ好印象です。さっそく体を流そうとカランをひねりますが、水しか出てきません。左右ふたつ蛇口がありますが、どちらが湯とは書かれていないので、とりあえず「こっち」と思う方をしばらく出していると、徐々に温かくなってきました。なんとか体を流して湯舟に浸かります。湯舟の湯もかなり色付いています。底がぎりぎり見えるぐらいの濃度でしょうか。湯はちょうどいい温度で、熱すぎずぬるくもない感じです。角に信楽焼のタヌキの小さいのがいて、そこが湯口になっています。飲泉もできるようでコップが用意されていました。さっそく飲んでみると、これが意外にもあっさりです。見た目の印象からして金属臭プンプンのかなりエグい味だと思っていたのに、すごくあっさりです。多少のミネラル臭さがあるものの、ごくごくと飲めてしまうくらい癖のない湯でした。これがこんだけ浴室を染めてしまうのだから、すごいものだと改めて感じました。湯はわりとしっとりとしていて、それでいてツルッとした柔らかさもある湯です。もっとキシキシとした湯を想像していただけに、これまたいい方に裏切られました。奥にある湯舟は半分が天井が低くなっています。そしてこちらの湯はかなりぬるめとなっていました。お湯の印象は同じような感じでした。体が火照ってきたら、こちらでのんびりと過ごすのもいいですね。そういえば、壁に書かれている温泉マナーについてですが、けっこう強めにあーするな、こーするな、と書かれています。きっとマナーを破ると、般若のように怒った主人が出てくるのかもしれません。そんな、素朴な温泉施設でした。
掲載: 2021/09/26
Data
- 所在地:鹿児島県姶良郡湧水町般若寺
- 源泉名:般若寺温泉
- 入浴 :2021年3月
- 泉質 :炭酸水素塩泉
- 泉温 :源泉55.5度
- PH :7.3
- 蒸発残留物:881mg/kg
- ラドン含有量:2.2 百憶分の一キュリー単位
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆☆
温泉レポートを検索