宮崎県
すぎくらおんせん
杉倉温泉
春の日にサクラ眺める秘湯宿
小林市周辺の地図を眺めていた際に都城市の北部に杉倉温泉というのを見つけました。国道や鉄道からも少し離れた、やや辺鄙場所にポツンとあります。調べてみるとそれなりに秘湯ムードのある温泉のようなので、行ってみることにしました。ナビに従って走っていると、山の中にポツンとその施設が見えてきました。山の中といっても広域能動沿いなので、アクセスは難しくはないです。もっと辺鄙なところを想像していたのですが、険しい山の中というわけでもなさそうだし、古びた様子もなくわりと粋な雰囲気があり、隠れ宿というような印象でしょうか。駐車場手前には「営業中」というのぼりもあって、けっして敷居の高い秘湯ではないようです。さっそくおじゃますると、奥から人が出てきて対応してくれました。浴場は玄関ロビーの右側にありました。小ぢんまりとしたところですが、館内も清潔的な印象です。脱衣場は棚に深めのカゴが用意されています。規模からしてそんなに大きいわけではありませんが、このときは他に利用者もいなかったので、狭苦しいような印象はありませんでした。壁にはこの温泉に関する新聞の記事が掲げられていたり、この温泉に通って体調がよくなった方の手紙なども貼られていました。この温泉は明治初期に創業したという、県内でもけっこう老舗の温泉のようです。こんな辺鄙な場所なのに長く続くということは、それだけ効能も期待できる温泉なのでしょう。さっそく浴室に入ると、こちらは窓も大きく明るい内湯です。壁側に洗い場が並び、窓側に湯舟があります。タイル張りのオーソドックスな浴室ですね。湯舟は大小二つに区切られていて、手前の小さいのは水風呂のようです。大きい方でも横幅が３メートルぐらいの、小さめの湯舟です。さっそく体を流して湯舟に浸かりますが、湯舟の湯はとてもクリアな無色透明の湯です。お湯がキラキラと輝いていて、すごく透き通っているというか透明度の高い印象のある綺麗な湯です。沸かし湯なんでしょうが、チョロチョロと掛け流されているようです。なかなか贅沢な感じですね。湯はとてもしっとり感はあるものの、重くもなく軽すぎず、とてもさっぱりとした印象の湯です。けっこう熱いように感じましたが、プカプカと浮いている温度計を見ると40度ほどでした。温泉の投入されている蛇口の上にはコップも用意されています。飲泉もできるということでしょうか。さっそく飲んでみると、特に癖もなく、微妙にミネラルっぽさを感じる程度です。こんなにあっさりとした湯なのに、薬効高い湯とは、温泉の神秘的な底力を感じます。湯舟に浸かっていると、目の前のガラス越しに桜の木が見えます。ちょうど８分咲きって感じでしょうか。まさに見頃、一番桜のきれいなタイミングでの入浴となりました。生憎の曇り空だったのでいまいちパッとはしないながらも、花を見る分にはとてもやさしく綺麗に見えます。そんな桜を目の前に見ながらの入浴は快適でした。その後、しばらくして後から地元の方らしき入浴客がやってきました。自分が鹿児島ナンバーだったのでとても珍しそうに話しかけてくれました。鹿児島のとごから来たのか訊ねられたので、実はレンタカーで、地元ではないですよと伝えると驚かれていました。やはり普段は地元の方が多いのでしょうね。そんなのんびりとした湯でまったりと過ごすことができ、非常に快適に温泉を楽しむことができました。
掲載: 2021/09/29
Data
- 所在地:宮崎県都城市高崎町前田
- 源泉名:杉倉温泉
- 入浴 :２０２１年３月
- 泉質 :温泉法第二条の規定により適合する温泉(メタケイ酸)
- 泉温 :源泉20.9度
- 湧出量:毎分72.9リットル
- ＰＨ :６．６
- 蒸発残留物:0.154g/kg
- ラドン含有量:0.71×10-10Ci/kg (2.6Bq/kg)
- 形態 :温泉入浴施設 男女別
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
温泉レポートを検索