北海道
ゆのかわおんせん・えいじゅゆおんせん
湯の川温泉・永寿湯温泉
ジワジワと突き刺さる衝撃の熱さと爽快感
週末の休みを利用して函館にやってきました。函館は北海道の玄関口なんですが、玄関ということもあってか、あまりゆっくりと過ごす機会が少なく、意外と通り過ぎてばかりいました。なので、今回は週末だけですが、函館でゆっくりしようと思い立ってやってきました。函館空港を出て、まず最初に向かったのは湯の川温泉です。道南を代表する大きな温泉地です。けっこう古くから知られている湯のようで、かつてはアイヌの方々も利用していたといわれています。江戸時代になってからは藩主も利用したり、地域の方々も利用したり、江戸末期からは徐々に温泉地らしくなっていったのだそうです。今回、温泉街のホテルの浴場に入ったあと、もう1軒入ってみようとハシゴで立ち寄ったのが、温泉街の裏手にある「永寿湯温泉」です。ここは公衆浴場、つまりは銭湯です。天然温泉を利用した銭湯ということで、期待してやってきました。見かけは確かに普通の銭湯です。北海道らしさの漂う、小さな銭湯です。しっかりと「天然温泉」と書かれた案内表示があるところが、温泉にこだわりを感じます。さっそく建物に入ると、下足を脱いであがります。すると自動券売機があり、受付、そして小さなロビーと浴場入り口がありました。脱衣所もいたってシンプルで昔ながらの銭湯です。簡易的な鍵のかかる木造ロッカーが並んでいました。そして浴場に入ると、手前側に洗い場の並ぶシマがあり、奥にタイル張りの湯舟。湯舟の背後には大きな富士山の壁画です。まさに銭湯の中の銭湯、王道って感じですね。さっとシャワーを浴びて、さっそく湯舟に浸かります。湯舟は大小2つに区切られていていました。まずは小さい方に入ろうと、ジャポンと足を突っ込むと、「やべぇ、やっちまった」と瞬時に後悔してしまうほどの衝撃が走ります。何かというと、めちゃくちゃ熱いのです。慌てて足を湯から出したいのですが、それも痛いくらいの熱湯です。じんわりと突き刺さるように伝わる熱さ。いや熱さというより痛いです。大きい方は「低温」になっているようです。ならばとこちらの温度を確認するも、いやいやちっとも低温ではありません。こちらもおそらく50度くらいはあるでしょう。いや、こんなの入れる人っているの?ってぐらいの温度ですが、全国津々浦々をめぐっていると、たまにこういう温泉にぶちあたります。これはけっしてイジメでも何でもなく、これが普通なんです。何度も掛け湯を繰り返して体を慣らすことから始めます。いや、慣らすといっても、すでに罰ゲーム並みの辛さです。ところがこのお湯はすごくツルツルと感触がいいのです。いや、やはりこのお湯ならば全身入りたい。その一心で掛け湯を繰り返します。そして慣れたところでゆっくりと浸かり始めます。ジーンとしびれる熱さに我慢しながら縮こまって入ります。ちょっとでも湯が対流しようものならそれは事故のようなもの。静か〜にそぉ〜っと浸かって、微動だにしないでいます。そうすればツルツルの極上の湯を楽しめます。1分ほど浸かったところでゆっくりと慌てず出ます。全身が真っ赤になりながら、ドバッと一気に汗が噴き出してくるので、非常に癖になりそうな爽快感がありました。他の客はみなさん地元の方なのでしょう、慣れた感じで浸かりますが、それでもせいぜい1分くらいですかね。それを繰り返しているようでした。ちなみに飲泉もできるようで、湯の注ぎ口にはコップが用意されています。注ぎ口に近づくことさえ辛いのですが、頑張って近づいて飲んでみました。すると、けっこうしっかりとした塩味があります。飲んで美味しいと思うくらいの塩味で、濃過ぎず薄過ぎずちょうどいい塩梅でした。ちょっと熱いのはカルチャーショックを受けるかもしれませんが、これもローカルルールということで理解した上で利用しましょう。きっとそのうち癖になるかもしれませんよ。
掲載: 2021/12/12
Data
- 所在地:北海道函館市湯川町
- 源泉名:湯川1丁目A号井〜F号井源泉混合
- 入浴 :2021年5月
- 泉質 :ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉
- 泉温 :源泉64.5度
- 湧出量:毎分673リットル
- PH :7.2
- 密度:1.0050
- 蒸発残留物:8.747g/kg
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
温泉レポートを検索