新潟県
みかわおんせん・ゆもとかん
三川温泉・湯元館
昭和三年開湯、静かな山里の隠れた名湯
JR磐越西線の三川駅からクルマで数分、阿賀野川の支流、新谷川を少し進むと三川温泉があります。歓楽的な要素の無いすごく地味な温泉地ですが、数軒の旅館などがあるローカルで静かな温泉地です。周囲は山と田園風景しかなく、歓楽街どころか商店街のようなものもないので、本当に静かに静養したい人向けの温泉地です。今回はその湯元館という宿に立ち寄りで入浴してきました。温泉街へは小さな路地を入っていくのですが、これがまた、本当にここを入っていくのか?と疑問符が浮かび上がるほど、さりげない路地へと入っていきます。するとすぐに湯元館という旅館が見えてきます。玄関前には日帰り入浴の幟も出ていたので、積極的に立ち寄りでの入浴も受け付けてくれるのが嬉しいです。さっそく玄関前まで行くと、どうやら都合が悪いのか、昼の入浴を休止していると書かれています。諦めて引き返そうとすると、脇から主人が出てきて、「どうしようかな? あっ、いいですよ。入れますよ」とのこと。わざわざ来たのに返すのも悪いと思ったのか、でも、こちらもわざわざ一人のために利用させてもらうのも気が引けるなぁと思いながらも、お言葉に甘えてきました。他に客は誰もいないので、二つある浴場のどちらでも好きな方を利用していいと両方を案内されました。古い方は男湯で、新しい方は女湯のようです。古い方の浴場の方が好みだったので、そちらを利用しました。小さな旅館なので、脱衣所とかはとても小ぢんまりとしていて狭いです。でも、扇風機を付けてくれたりと申し訳ないぐらいもてなしてくれました。浴場は湯舟が中央にドンと構える素朴なものです。しかし、何でしょう、このノスタルジックな感じは。非常に品と情緒を感じさせる佇まいです。さっそく体を流して湯舟に浸かります。無色透明の綺麗な湯がトロトロと注がれているのですが、湯舟に体を沈めると、ザザーッと溢れだして床に広がっていきます。湯は鯉の形をしたオブジェクトから注がれています。完全なかけ流しになっているようで、常にトロトロと静かに流れていました。この湯なのですが、温度も少しぬるいかな?ぐらいの適温で、また、肌にしみ込むようなきめの細かな湯です。ほんと、特別な浴感はないのですが、とにかく優しく包み込むような柔らかな浴感なのです。このタイプの湯はとても好きなタイプです。しっとりと肌を包み込む感じで、とにかく気持ちがいいです。湯の注ぎ口の上にはコップが用意されていて、飲泉も可能なようです。さっそく飲んでみると、うっすらと塩分を感じます。また、その奥にミネラルのような硬い味覚がありました。カルシウムでしょうか? 湯舟の周辺にも少し白い結晶があるので、温泉の成分によるものでしょう。また、綺麗な透明の湯ですが、よく見ると小さな赤い浮遊物があります。温泉の湯の華のようです。飲泉もでき、そしてゆったりと気持ちいい湯に浸かり、本当に静かで素敵な時間を楽しむことができました。ここはやはり立ち寄りではなくじっくりと宿泊して過ごしたいと感じました。それにしても非常に丁寧な対応をいただき、本当に感謝です。次回、機会があれば是非とも宿泊で訪れてじっくりとこの湯を楽しみたいです。
掲載: 2022/12/23
Data
- 所在地:新潟県東蒲原郡阿賀町五十沢
- 源泉名:三川温泉組合2号
- 入浴 :2022年8月
- 泉質 :ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(低張性中性温泉)
- 泉温 :源泉41.5度
- PH :7.2
- 蒸発残留物:2084mg/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- レトロ度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
温泉レポートを検索