鹿児島県
ひなたやまおんせん・じゅじゅどんおんせん
日当山温泉・じゅじゅどん温泉
しっとりとツルツルッと、肌がみるみる滑らかになる名湯
鹿児島県の日当山温泉郷は、鹿児島空港からアクセスもよくて、プラっと立ち寄るのにとても便利な温泉地です。温泉街には、いくつもの素朴な温泉が点在し、また、家族風呂も多いのも特徴のひとつです。温泉の歴史としてはかなり古いものだそうだが、記録が残っていないため、開湯時期については不明とのことです。そんな古くから愛されている温泉地、その住宅街の中にポツンとある「侏儒どん温泉」にやってきました。ここは何故か相性が悪く、来るたびに臨時休業だったり、定休日だったりと、今回で何回目なんだろう?と思うくらい何度か足を運んだものの、今回が初の入湯になります。本当に素朴なローカルな共同湯って感じですが、観光ガイドや街の案内にも出ているので、観光客も訪れることもあるのでしょう。しかし、やはり観光客というよりは地元の方のお風呂という、ローカル色の強い雰囲気がありました。鉄筋コンクリートのがっちりとした平屋建てで、昭和の雰囲気が残る地味な建物です。「侏儒どん」とは、薩摩藩、この地の地頭だった「徳田太兵衛」という人の愛称だそうです。身長が90センチという小柄な方で、非常に賢い方だったそうです。色んな逸話があるようで、すぐ近くの「じゅじゅどん橋」には、いくつかのエピソードが書かれたパネルなどがありました。さて、そんな、観光名所っぽさのある浴場ですが、この地味さはなかなかのものです。館内に入ると正面に番台があり、そして右側が女湯、左側が男湯となっていました。ガラガラと扉を開けて脱衣所に入ると、こちらはわりとゆったりとしたスペースとなっていて、簡易的な棚があるだけのシンプルなものです。歩くと床がミシミシと軋む音がしたり、風が吹くとどこからかガタつく音がするなど、かなり年季が入った雰囲気がありました。浴室に入ると正面には大きな湯舟があり、左奥に洗い場らしきものがあります。湯舟は3つに区切られていて、湯口のある一番左側が「上湯」と書かれていて、その隣が「下湯」と書かれています。そして一番右は浅くなった寝湯となっているようです。とてもローカルな雰囲気が漂っているので、先客の行動を見て、ここのルールを理解しようと観察します。まずは「下湯」、そして上がる前に「上湯」に入っているようです。また、洗い場は横に細長い枡があり、そこに湯が張られているというか、流れています。体を洗う際にはここの前に座り、桶で枡から湯を汲み取って利用するようです。カランの代わりに大きな湯の枡なのですね。一見したところ、他の客は皆、地元の常連客のようで観光客らしき人は見かけませんでした。しかし、皆さん観光客にも慣れているのでしょう。気軽に挨拶をしてくれて、アットホームな雰囲気がありました。お湯は無色透明の綺麗な湯です。お湯は熱くなく、少しぬるめというかちょうどいい温度です。特に見た目の特徴はない湯ですが、やたらと浮力を感じるような気がします。海水に浸かっているような感じがあるのですが、注がれている湯を味見してみても、とくに塩味もなく無味です。ただ、サラサラとした湯なのに妙にヌルっとした浴感もあります。手の表面が溶けていくような、肌の角質がふやけていくような、そんな柔らかな印象の湯です。けっこう地味なようで、しっかりと自己主張してくる湯に驚きました。そんな肌がみるみるうちにツルツルになる様は、本当に衝撃でした。さすが日当山温泉は名だたる偉人達も気に入る名湯なわけです。うっとりとお湯を楽しみながら、ついつい長居してしまいました。
掲載: 2023/08/14
Data
- 所在地:鹿児島県霧島市隼人町東郷
- 入浴 :2023年5月
- 形態 :公衆浴場 男女別
- 効能 :きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- レトロ度:☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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