鹿児島県
ゆがわうちおんせん・かじかそう
湯川内温泉・かじか荘
湯舟の底から湧き出る源泉をそのまま楽しむ
出水市の山の中、深い谷に囲まれたひっそりとした場所に「湯川内温泉かじか荘」があります。ここへと向かう途中も、とても狭い山道で、対向車が来たらどうしようと不安になりながら進むような場所にありました。ここがとても雰囲気のいい秘湯ということで、ちょっと大変だけど、楽しみにやってきました。辿り着くと、本当にひっそりとしていてかなり静かな場所です。ものすごく古風な木造の建物があり、この鄙びた雰囲気は只者ではありません。今回は日曜日の午前中に訪れましたが、数名の先客がいるだけのようです。さっそく入浴をお願いに受付のある手前の建物に入ります。入ってすぐ受付があるので、そこで料金を払い、また出て手前の奥にある湯小屋へと向かいます。すぐ目の前にも湯小屋がありますが、そこは「下の湯」で、さらに奥へと行くと「上の湯」があるそうです。各湯小屋はそれぞれ1回ずつしか入れず再入浴できないルールとなっているようでした。下の湯は賑やかな人の声が聞こえたので、先に「上の湯」から入ることにしました。ちょっと坂道を登ると「上の湯」です。手前に大きな鯉の泳ぐ池があり、素朴な湯小屋がありました。脱衣場も簡易的で棚にカゴがあるだけで、すぐ脇に浴場があります。浴場はとても小ぢんまりとしていて、ものすごく素朴です。そして驚いたのが湯口が見当たらないのに大量に湯が溢れていることです。よくよく見ると、底には砂利が敷かれていて、その底から湯が湧き出ているようです。たまに気泡がぷくぷくと浮かんで来ていました。なんと湧き出た直後の新鮮な湯を楽しめるようです。湯は無色透明でものすごく透き通っています。さっそく湯を浴びると、けっこうぬるめです。湯舟に浸かっても体温よりちょっと高いぐらいで、本当に気持ちがいいです。また、ツルツルとした浴感もあり、そしてはっきりとした硫化水素の香りが漂っていました。湯舟の中には巨石がゴロンと沈んでいるので、その上を腰掛に利用して湯を楽しみました。それにしても静かで、蛙の鳴き声と小鳥の囀りが響き渡り、すごく落ち着く感じです。けっこう長く浸かってのんびりと過ごしたところで、そろそろ「下の湯」にも行ってみます。こちらもちょうど先客が上がるところのようでした。こちらは少しだけ大きいようで、脱衣場も広めです。湯舟は同じように底に砂利が敷かれていて、底からぷくぷくと気泡とともに湯が湧き出ているようです。こちらもそれなりの湯量があるようで、大量に溢れ出ていました。ただ、上の湯よりもこちらは若干黄色っぽく見えます。そして硫化水素の香りも少し薄いです。ほんのちょっと位置がずれているだけなのに、印象も違うのですね。こちらもしばらく浸かったところで、汗だくになったので水道の水でも飲もうかと蛇口を捻ると、生暖かい湯が出てきました。しかもブーンと硫化水素の香りがします。なんとこちらも源泉のようでした。温泉分析表を見ると、「上の湯」が1号、蛇口が「2号」、そして「下の湯」が3号の源泉だそうです。2号の湯もツルリとした浴感が感じられる湯でした。味覚はほとんど感じないものの、しっかりとした硫化水素の香りが印象的でした。それにしても本当に静かで、ずっとこのまま浸かっていたくなる感じです。そうなると先ほどの「上の湯」にもう一度入りたくなってきましたが、ルール上それはできないようなので、こちらでじっくりと浸かってから、出ることにしました。この静けさ、そして湯の新鮮で個性的な楽しみ方、どちらもとても気に入りました。是非とも、またの機会に訪れたいと思います。
掲載: 2023/09/01
Data
- 所在地:鹿児島県出水市武本
- 源泉名:湯川内1号、湯川内2号、湯川内3号
- 入浴 :2023年5月
- 泉質 :アルカリ性単純温泉
- 泉温 :(1)源泉38.0度、(2)源泉36.1度、(3)源泉38.2度
- PH :(1)9.6、(2)9.4、(3)9.6
- ラドン含有量:(1)5.2Bq/kg、(2)4.2Bq/kg、(3)5.8Bq/kg
- 電気伝導率:(1)0.0224S/m、(2)0.0207S/m、(3)0.0206S/m
- 密度 :(1)0.9987、(2)0.9986、(3)0.9984
- 蒸発残留物:(1)0.152g/kg、(2)0.120g/kg、(3)0.125g/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 効能 :神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばりなど
- 露天風呂:なし
- 脱衣所:あり
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 野趣度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆☆
温泉レポートを検索