岩手県
だいおんせん・せいがのゆ
台温泉・精華の湯
森林に囲まれた名湯台温泉の日帰り湯
岩手県花巻市、花巻の市街地から少し山の中に入っていくと、台温泉という老舗の温泉地があります。平野部から山間部と入っていくと、本当に森林の続く、山の中という雰囲気です。ちょっと行くと急に温泉地が開けていて、「何でこんなところに立派な温泉地?」と思ってしまうような不思議なロケーションです。この温泉地の歴史はとても古く、坂上田村麻呂の家臣が、この地に温泉があることを聞き、将軍に入浴を勧めたという伝説があるそうです。坂上田村麻呂といえば、平安時代の征夷大将軍として知られる人物なので、そうとう古い温泉のようです。また、別の開湯伝説によれば、南北朝時代の元中4年(1387)に地元の猟師が猟の途中で湯けむりを発見して見つけたという史実もあるようです。どちらにせよ古い温泉地であることには違いありません。ちなみに「台」は、アイヌ語の「タイ」から来ているそうで、「タイ」は「森林」のことをいうそうです。なるほど、確かに現代でも森林に囲まれた山の中の温泉地です。そんな台温泉の中にはいくつかの温泉旅館がありますが、日帰り温泉施設もあります。それが「精華の湯」です。台温泉に入って少し進んだところにあります。蕎麦屋が隣接していて、どうやら同じ運営のようです。さて、素朴な温泉施設だということで、楽しみにやってきました。訪れたのは夏のお盆の真っ只中です。夕方というか日が暮れたぐらいの時間帯にやってきたのですが、どうやら穴場の時間帯だったらしく、とても空いている状態でした。施設の前には駐車スペースがあり、けっこうクルマを停めることもできます。玄関を入るとセンサー式のチャイムが流れますが、受付には誰もいません。脇に入浴券の自動券売機があり、購入した券を目の前の箱に入れて利用するセルフ式のようです。浴場はすぐ右側にありました。「をとこ」と書かれた暖簾をくぐると「男湯」です。脱衣場は小ぢんまりと狭く、棚と洗面台があります。ロッカーは無いので貴重品は持ち込まないか、玄関脇のロッカーを利用しましょう。浴室もまた小ぢんまりとした小規模のものです。手前側に洗い場、そして奥に湯舟があるだけのシンプルな浴室です。露天風呂はありません。洗い場は5か所ありましたが、角の部分は狭いので同時に4名利用するのがいっぱいでしょう。湯舟は真ん中に木の板で区切りがあります。区切りといっても、湯舟の上層部が仕切られているだけで、同じ湯です。ただ、角から流れる湯がその板でさえぎられるので、仕切りの奥側がややぬるめに感じるようです。湯は無色透明の湯が注がれていますが、湯舟では若干の濁りを感じます。非常にあっさりとした湯で、特に刺激もなくあっさりとしてマイルドな印象の湯です。浴室は内湯のみで、やや熱めの湯、そして蒸していたこともあり、ちょっと浸かるとすぐにのぼせてきます。脇に扉があったので、露天風呂か涼み処でもあるのかと開けてみたら、何もない単なる外でした。なので、基本的に内湯には逃げ場がないので、わりと回転は早いように感じます。それでも、利用客が少なかったこともあり、じっくりと時間をかけて汗を流しながら、まったりと過ごしてきました。1時間ほどまったりとしたところで、入浴客が増えてきたので上がることにしました。浴後はすごくさっぱりとした気分になり、やはり名湯は雰囲気が違うなと改めて実感しました。非常に気軽に立ち寄れる湯なので、これは重宝できそうです。時間帯やタイミングによっては、芋洗い状態になることもありそうなので、タイミングを見計らって利用するのがよいでしょう。
掲載: 2023/12/28
Data
- 所在地:岩手県花巻市台
- 源泉名:台温泉(寿の湯)
- 入浴 :2023年8月
- 泉質 :含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
- 泉温 :源泉95.6度
- PH :8.3
- ラドン含有量:1.869×10-10キュリーラドン/kg(0.514マッヘ)
- 成分総計:1.237g/kg
- 形態 :日帰り温泉施設 男女別
- 効能 :慢性皮膚病、慢性婦人病、きりきず、高血圧症、糖尿病など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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