山梨県
ならだのさとおんせん・じょていのゆ
奈良田の里温泉・女帝の湯
孝謙天皇ゆかりの女帝の湯
山梨県の南西部にある早川町。静岡県に隣接し、南アルプスの山々に囲まれたとても静かな山の町です。谷間沿いにいくつかの温泉地が点在しますが、とにかく不思議なくらい静かな町で、自然がいっぱいのところです。そんな早川町を南北に貫く南アルプス街道(県道37号線)を北上していくと、最深部にあるのが奈良田です。南アルプスの登山道の入口にもなっているので、広い駐車場があったり、バス停があったりと、秘境ですが人の行き来が感じられる場所です。そんな小さな集落ですが、古くから伝わる温泉があることでも有名です。奈良田の湯は女帝であった孝謙天皇が、上皇のときに湯治のために訪れたとの伝説があるとのことです。孝謙天皇ということは、奈良時代ということですね。非常に古くから知られている温泉のようです。そんな温泉地にある日帰り温泉施設「奈良田の里温泉女帝の湯」に入ってきました。女帝とはまさに孝謙天皇に肖ったネーミングでしょう。温泉施設は坂の上にありますが、乗用車は登れないので下にある駐車場から徒歩で向かいます。歩いてもすぐのところです。すごくひっそりとした集落で、人の気配も感じないようなところだったのですが、温泉施設に辿り着くと施設の前には沢山の大きなリュックが並んでいます。登山客の荷物のようです。下山後にここで温泉を楽しんでいるのでしょう。けっこう人気がある施設のようです。とはいえ、とても素朴で昔ながら風情のある建物です。館内に入るとすぐに受付があり、１日利用か１回利用かで料金が変わりました。１日利用だと休憩室も利用できるようです。料金を払って奥へと進むと、ロッカーがあります。脱衣所にはロッカーが無いようなので、貴重品はこちらで預けるようです。コイン返却式のコインロッカーとなっていました。浴室はさらに奥へと進みます。すると渡り廊下のような外の通路があり、そして浴舎がありました。手前側が男湯で奥が女湯のようです。脱衣所に入ると素朴で小ぢんまりとした佇まいです。そんなに古い施設ではないようですが、脇にある洗面台というか流しがあり、それが銅でできているのか、鈍く光っていて味がありました。浴室は内湯のみで露天風呂などは無いようです。内湯は手前側両サイドに洗い場があり、そして正面に湯舟があります。湯舟は左右２つに区切られているようです。さっそく体を流して湯舟に浸かります。まずは右側にある湯舟からは入りましたが、これがまた非常にぬるい湯です。37〜38度くらいでしょうか。真夏の熱い時期だったので、すごく気持ちがいいです。そして無色透明の湯ですが、湯舟に浸かった瞬間にツルツルとする滑らかな浴感に包まれます。なるほど、これまた特徴的です。お湯そのものはとてもサラッとした感触なのですが、肌が潤うようなツルツル感が楽しいです。湯舟に浸かると見えませんが、外側はガラス窓になっているので、外の景色も見えます。高台にあるので西山ダムに堰き止められた早川が奈良田湖として輝いて見えました。山の上の湖らしい、青白い色をした湖で、なかなか素敵な景色が眺められます。じっくりと浸かっていても体が温まらないというか、むしろ寒くなるような温度なので、もう一方の湯舟に入ってみました。こちらは少し温度が高く体感で40度くらいでしょうか。脇からトロトロと湯が注がれ、そしてこちらの溢れ出た湯がぬるい方の湯舟へと流れているようです。注がれている湯を少し味見をしてみましたが、けっこう硬いというかミネラルを感じる湯でした。味としては目立ったものはありませんでした。それにしてもいい湯です。登山客にも人気があるのもわかります。この湯でまったりと登山の疲れを癒して過ごせるなんて、至福の時間が味わえることでしょう。一般の入浴客もそこそこいるので、シーズンによっては混雑するかもしれませんが、けっこう辺鄙な場所にあるため、貸切状態になることも多いでしょう。わざわざ行く価値のある湯だと感じました。
掲載: 2024/01/20
Data
- 所在地:山梨県南巨摩郡早川町奈良田
- 源泉名:奈良田の里温泉
- 入浴 :２０２３年８月
- 泉質 :ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(低張性アルカリ性温泉)
- 泉温 :源泉41.3度
- ＰＨ :８．８
- 電気伝導率:283mS/m
- 密度 :0.9998
- 蒸発残留物:1469mg/kg
- 形態 :日帰り温泉施設 男女別
- 効能 :きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 地元度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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