熊本県
たるたまおんせん・たきびより
垂玉温泉・瀧日和
変わらぬ石垣と、森の中の露天風呂
週末の休みを利用して、熊本県の阿蘇山に遊びにやってきました。阿蘇山は世界最大級のカルデラで有名な活火山ですが、火山といえば温泉も忘れてはいけません。そんなわけで、阿蘇山周辺にはユニークな温泉がいっぱいあるので、何度来ても飽きません。今回は南阿蘇にある垂玉温泉にやってきました。ここは以前は山口旅館という明治から続く有名な温泉旅館がありましたが、平成28年の熊本地震によって泉源の埋没、建物の損壊等の被害を受けたそうです。その後、日帰り温泉施設「垂玉温泉瀧日和」として復活したとのことでした。いつの間にやら新しい温泉施設が増えているなぁと思ったら、代替わりしていたのですね。そんなわけで、さっそく温泉地に向かいます。ここは阿蘇山の南西部、険しい山の中にあります。昔の人はよくこんなところに温泉地を切り開いたものだと、感心してしまうほどです。幹線道路からもけっこう離れて細い山道を走っていくので、秘湯感はけっこうあります。そして目の前に大きな滝が見えてきたかと思ったら、その手前に温泉施設がありました。新しい施設ということで、とても綺麗でモダンな雰囲気があります。こんな秘境にも関わらず、けっこう入浴客が訪れていました。モダンな造りの受付棟は、まるでカフェのようになっています。受付を済ませると脱衣所のロッカーキーが手渡され、脇の出入口から外へと出ます。そこから石垣の合間を抜けて坂道を降りていくと浴舎が見えてきました。それにしても両脇の石垣はかなり立派です。というのも、この石垣はかつての旅館の擁壁です。明治時代に作られたがっちりとした石垣で、それを想うと風情が増してくる気がします。浴舎はまた一段下のエリアに作られていました。手前側が女湯で先にあるのが男湯です。浴舎に入ると脱衣場となります。木造のロッカーが並んでいましたが、そんなに規模は大きくありません。浴場に入るとこちらはかなりゆったりとした大きな内湯がありました。右側に湯舟、左側に洗い場が並びます。手前側にはサウナと水風呂もあります。和風な感じですが、やはり現代風の浴室です。さっそく体を流して湯舟に浸かりますが、湯舟はけっこう大きくてゆったりとしています。湯舟の手前側には上がり湯があり、そこから湯舟の中に新しい湯が流れ込んでいます。湯は薄茶色に濁っていて、透明度は40〜50センチ程度でしょうか、けっこう濃厚な雰囲気があります。あと、外では妙に硫化水素の匂いがプンプンと漂っていたのに、浴場の中では硫化水素とは違う、もっと金属的というかミネラル臭があります。お湯の印象も硫黄泉というよりは、鉄泉や炭酸泉のような見た目です。ところが、なんと単純温泉と書かれています。確かにお湯にガツンとくるような刺激はなく、すごくマイルドです。肌に浸み込んでいくような、しっとりとしたマイルド感がありました。なんとも不思議な泉質です。浴室の外側の窓から外を覗いてみると、眼下に沢が流れています。地震の影響でだいぶ整備したのでしょう、護岸がしっかりと作られていました。外には露天風呂もあります。外へと出てみると階段を降りた先に浅い岩風呂、そしてさらに一段下がったところに大小二つの岩風呂があります。それぞれは小規模なのですが、三つも湯舟があるというのは面白いです。森の中で静かに湯舟に浸かっていると、なんとも気持ちが良くて時間があっという間に過ぎていきます。ただ残念なのは、目隠しの意味もあるのでしょうが、沢や対岸の景色がまるで見えないことです。森の中の爽やかな雰囲気はあるものの、ちょっと現代的過ぎて興覚めしてしまう部分も否めません。ただ、それでも十分に静かでゆったりと寛ぐことができました。今回は日曜日の昼前に訪れましたが、そこそこ入浴客はいるものの、ごった返すほどの混雑はありませんでした。平日ならもっとのびのびと満喫できるのではないかと感じました。とても利用勝手の良さそうな温泉施設なので、足を延ばして訪れてみるのもいいでしょう。
掲載: 2024/02/22
Data
- 所在地:熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽
- 源泉名:垂玉温泉(山口旅館元湯)
- 入浴 :2023年10月
- 泉質 :単純温泉(低張性中性高温泉)
- 泉温 :源泉45.3度
- 湧出量:毎分317リットル
- PH :6.2
- ラドン含有量:2.05×10-10Ci/kg
- 総成分量:826.4mg/kg
- 形態 :日帰り温泉施設 男女別
- 露天風呂:あり
- 開放度:☆☆☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 野趣度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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