熊本県

ゆたかおんせん

富温泉

大黒様と恵比寿様が見守る山の湯小屋
秋もそろそろ深くなる頃、暑くもなく寒くもなくちょうどいい季節、熊本県の北部、小国町の県境付近にある「富温泉」を訪れました。「富」と書いて「ゆたか」と読むようです。小国町から九重町に抜ける国道387号線の峠に向かう途中にある小さな温泉です。谷間の小さなスペースにポツンと佇むような、非常に素朴で地味な存在なので、通り沿いに看板はあるものの、気づかずに通り過ぎてしまいそうなロケーションです。道路から10メートルほど入ると駐車スペースがあり、その上に浴舎が見えました。駐車場の片隅には犬小屋があり、看板犬がいるそうですが、今回は不在のようでした。浴舎に近づいていくとその手前に入浴券の自動券売機がありました。どうやら無人営業のようです。入浴券を購入して浴舎に入りました。素朴な木造の小屋で、右側が男湯、左側が女湯となっています。中に入ると脱衣場があり、そしてその奥に浴室がありました。小ぢんまりとしたところですが、わりとゆったりとしています。今回は月曜日の午前中ということもあってか、他に利用者はいないようです。実は前日の日曜日の夕方にも様子を見に来たのですが、駐車スペースがちょうど埋まるくらいの客がいたので、翌日にズラして利用しに来たのでした。穴場的な存在なので、やはり平日だと貸切状態になりますね。脱衣所は棚にカゴがありますが、棚の下半分は常連さんの風呂道具置場となっていました。また、壁には沢山のネームホルダーのようなものが垂れさがっていて、それぞれに氏名と「家族パスポート」と書かれています。常連さんの入浴券のようです。けっこうな数があるので、利用者も多いのでしょう。ガラス戸を開けるとすぐに浴室です。こちらも木造の湯小屋となっていて、天井も壁もあるので内湯ですが、わりと隙間もあるので、それなりに爽やかな印象もありました。手前側に小さなスペースがあり、洗い場は2か所のみです。目の前には巨石に取り囲まれた大きな湯舟がありました。とてもシンプルというか素朴だけど豪快な岩風呂です。さっそく掛け湯をして湯舟に浸かりますが、無色透明の湯はサラッとしていて非常にマイルドです。あまり癖の無いというか、大人しい印象の湯で、温度もちょうどいいか、微妙に熱いぐらいです。そして何よりも、内湯なのに解放感があることです。大きな石でとてもダイナミックな雰囲気もあるし、他に利用者もいなかったので、のびのびと過ごせたこともあるでしょうが、とても解放感のある雰囲気がありました。正面の大きな岩の上には、大黒様と恵比寿様が祀られています。どちらも朗らかな笑顔で、とても元気になりますね。それにしてもこの雰囲気は格別です。すごく素朴だなぁと最初は思っていたのですが、よく見てみると、柱や梁も太くて立派な木材ですし、この巨石を配置するだけでも、けっこう大変な作業でしょう。それなりに資金が無いと作れそうもないような、すごく立派な温泉施設です。しばらく誰も利用者がいなくて貸切状態でしたが、そろそろ出ようかという頃に1人の方が入ってきました。とても身軽で慣れた様子だったので、常連の方なのでしょう。こんな素朴ながらも雰囲気のいい温泉なら、通いたくなりますよね。素朴ながらも贅沢な気分を味わえる穴場的な温泉でした。
掲載: 2024/02/29
Data
  1. 所在地:熊本県阿蘇郡小国町西里
  2. 源泉名:富温泉
  3. 入浴 :2023年10月
  4. 泉質 :単純温泉(低張性中性高温泉)
  5. 泉温 :源泉45.3度
  6. 湧出量:毎分198リットル
  7. PH :6.5
  8. ラドン含有量:3.2×10-10Ci/kg
  9. 電気伝導率:0.0429S/m
  10. 密度 :0.9986
  11. 蒸発残留物:0.361g/kg
  12. 形態 :共同浴場 男女別
  13. 効能 :自律神経不安定症、不眠症、うつ状態など
  14. 露天風呂:なし
  15. 脱衣所:あり
  16. 開放度:☆☆☆
  17. 清潔度:☆☆☆
  18. 気軽度:☆☆
  19. 地元度:☆☆☆☆
  20. 穴場度:☆☆☆
  21. 秘湯度:☆☆☆☆☆
  22. 異色度:☆☆☆☆
  23. 景色 :☆☆
  24. 総合評価:☆☆☆☆