大分県
かめがわおんせん・かめがわすじゆおんせん
亀川温泉・亀川筋湯温泉
喧噪に囲まれた大らかな共同湯
別府の多くの温泉の中でも、ひときわディープな雰囲気を味わえる共同湯が亀川にあるというので、ちょっと立ち寄ってみることにしました。そこは亀陽泉にもほど近い、県道645号線沿いにある亀川筋湯温泉です。この県道がまた、とても細いわりにクルマがバンバン通るので、轢かれないように注意が必要です。この辺りかなと近くまでやってくると、そこにはホントに素朴すぎる、古い物置小屋かと見まがうような小さな小屋がありました。入口の上には「亀川筋湯温泉」と書かれた看板があり、脇の壁には「筋湯」の由来が日本語と英語で書かれた案内板もあります。共同湯ではあるけど、史跡のような古くから伝わる浴場のようです。クルマがバンバン通り、路肩も狭いのでさっさと施設内に入ります。施設内に入るといっても、一歩進むとすぐに突き当りです。そこには大事に祀られている石像と、お賽銭箱がありました。どうやらここはお賽銭が入浴料代わりのようです。「お世話になりま」と挨拶と賽銭を入れました。右側には男湯、左側に女湯と書かれていますが、カーテンで仕切られているだけで、中に入るとすぐに浴場です。女湯側は利用者がいるようで、カーテンが閉まっていますが、男湯は誰も利用者がいなくて、カーテンは開いた状態でした。扉ではなくカーテン1枚というのも、凄いですね。中はものすごく狭い浴場で、脇に脱衣棚、そしてすぐに湯舟があります。湯舟は数名でいっぱいになってしまうぐらいの小さなものです。さっそく着替えますが、外から丸見えなので、やはりカーテンは閉めるべきでしょう。かなり狭いスペースで衣服を脱いだらコンクリートの床におりていきます。さっそく体を流したいのですが、もちろんこんな狭いスペースには洗い場という仕切りもなければ、カランもシャワーもありません。湯舟から直接湯を汲んで利用するようです。ただ、あまりにも狭いので、脱衣スペース側で湯を流すと、足場が濡れてしまうので注意が必要です。奥の片隅でそーっと体を流しました。温泉巡りでハシゴをしている途中なので、体は汚れていませんが、エチケットとして体を流します。湯に体を慣らす効果もあるので、健康面でも意味のあることですから、どんな場所でも必ず体を流しましょう。体を流したところでさっそく湯舟に浸かります。無色透明の綺麗な湯で、見たところ湯が注がれているようには見えなかったのですが、けっこう掛け流されているようで、隅から溢れ流れていました。湯舟は底まで桧になっていて、なんとも温かみのある湯舟です。熱いという情報もあったのですが、今回はむしろ丁度いい、というよりは微妙にぬるめという感じでした。季節や日によってけっこう変化があるようです。湯舟はひとつだけですが、どうやら底で女湯と繋がっているようです。また、脇にも隙間がいっぱいという大らかな浴場です。普通に利用していればまったく見えることはありませんが、これはちょっと一般の女性にはハードルの高い仕様でしょう。ただ、湯はホントに新鮮で気持ちがいいです。軽くツルッといる湯で、非常に滑らかです。それでいてジワジワと熱を感じる、ぬくもりに包まれた感触の湯です。これは気持ちがいいですね。それにしても、壁のすぐ外側は道路です。カーテンを隔てているだけなので、クルマの喧噪がとても気になります。改めて大らかな湯だなと感じます。ちょうどいい感じに体がほぐれてきたところで、地元の方らしき客がやってきました。「こんにちは」と挨拶をすると、棚にある服を見て、「これはあんたのか?」と聞いてきたので、「そうです」と答えましたが、他に入浴客はいないのでこの状況下では私以外はあり得ません。何故そんなことを聞いてきたのか意図が分かりません。脱ぎ方がルール違反だったのかとも思ったのですが、その方も同じような置き方をしていたので、それも考えにくいです。もしかしたら、いつもそのスペースを利用されている方だったのでしょうか。別に文句を言ってきたわけでもなく、怒っている様子でもなく、帰り際の挨拶も返してくれたので、やはり「いつもの場所を取られたぁ」って感じだったのかもしれませんね。ちょっと敷居の高い浴場ですが、一般にも開放されているので、是非とも味わいたいローカルな浴場です。
掲載: 2024/07/22
Data
- 所在地:大分県別府市亀川中央町
- 入浴 :2024年5月
- 泉質 :単純温泉
- 形態 :共同湯 男女別
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 景色 :
- 総合評価:☆☆☆
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