大分県
いちのはるおんせん・いちのはるきょうどうおんせん
市の原温泉・市の原共同温泉
地域に愛され守られている素朴な共同浴場
鉄輪温泉の少し南、住宅街の走る新別府通りの道路脇にポツンとある「市の原共同温泉」を利用してきました。ここはしばらくコロナ禍でジモ専になってしまっていて、なかなか開放されない時期がありました。前回訪れたときにも組合員以外利用禁止になっていて、諦めたところでした。ようやく一般にも開放されたとの情報を得て、さっそくやってきました。ここは地元の方々が普段から通る、わりと交通量の多い通り沿いにあります。木造の古めかしい倉庫のような建物があり、そこが共同浴場です。一見すると浴場のようには見えない質素な雰囲気が気になります。壁には「おたふくわた」の古めかしい看板があったり、地方球場のベンチのような椅子が用意されていたり、浴場の入口は防災倉庫の扉のような無機質な感じがあったりと、不思議な佇まいです。さっそく扉を開けるとすぐ正面にブロック塀の壁があります。その上には仏様が祀られていて、手前には料金箱があります。組合員以外はこの料金箱に入浴料を入れて利用するので、あらかじめ小銭を用意しておく必要があります。ブロック塀には手書きで大きく「男湯」と書かれていて、とても素朴な雰囲気がたまりません。その脇にはカーテンがあり、そのカーテンの先はすぐ浴場です。なんと大らかな感じなのでしょう。脱衣場は簡易的な棚と、木造の足場があるだけ、そしてすぐ目の前には湯舟があります。石畳で整備された手作り感が半端ない、とても温かみを感じる浴室です。湯舟の大きさはわりと小さめで、1.5×1.3メートルぐらいの大きさですかね。大人が3〜4名も入ればいっぱいです。洗い場やカランのようなものはなく、湯舟の周囲にちょっとしたスペースがあるだけです。湯舟から直接湯を汲んで利用するようでした。男女を仕切る壁の隅には源泉が流れる貯湯槽がありました。そこからチョロチョロと湯舟へと流れていますが、大半は脇の溝へと流れて排水されていました。貯湯槽のところに木製の栓があり、それを引っこ抜くと湯舟へと熱い湯が注がれるシステムとなっていました。ただ、この源泉がとても熱いです。触れないくらいの熱湯だったので、帰る際には栓をして止めておかないと、後から来た方が熱くて利用できなくなってしまいますので、注意が必要です。ちなみに排水されている熱湯は、浴室のまわりをぐるりとまわって排水されています。そのせいもあるでしょう、浴室内はとてもポカポカとあたたかい感じです。これなら寒い時期でも浴室は暖かくなるので、理にかなった構造ですね。さっそく湯を汲んで利用しますが、とてもちょうどいい温度です。いや、少しぬるいぐらいかもしれません。しばらく利用者がいなかったのでしょう、少し冷めてしまったようです。栓を開放して少し温度を上げながら利用しました。湯舟に浸かるとツルツルっとした滑らかな浴感があります。無色透明の湯ながらも、このツルリとした浴感はしっかりと温泉をアピールしているようでした。それにしてもホントに素朴に包まれた浴室です。すぐ脇をクルマがバンバン通るので、それなりの喧噪はありますが、じっくりと楽しむことができました。地域に守られているなぁと実感できる温泉です。一般開放に感謝しながら利用してきました。
掲載: 2024/07/29
Data
- 所在地:大分県別府市新別府
- 源泉名:別府温泉日本地熱興業
- 入浴 :2024年5月
- 泉質 :ナトリウム-塩化物泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
- 形態 :共同浴場 男女別
- 効能 :リウマチ性疾患、運動器障害、創傷、慢性湿疹及び角化症など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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