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大分県

ろくがさこおんせん・たわらやりょかん

鷺来ヶ迫温泉・俵屋旅館

江戸時代に発見された老舗の鉱泉
大分県臼杵市、佐賀関半島の付け根部分、やや山間部寄りにある鷺来ヶ迫温泉俵屋旅館に行ってきました。ここは鉱泉宿ですが、立ち寄りでの入浴も受け付けてくれているので、今回は立ち寄りでの入浴です。実は前々からこの宿には興味があって、できることなら宿泊で訪れたいと思っていたところです。なかなかタイミングがあわず、とりあえず立ち寄りで入浴することにしました。ちなみに立ち寄り入浴も時間が限られていて、けっこうタイミングが難しいところです。しかも、臼杵や佐伯など大分県の南部沿岸地域は温泉資源も少なく、なかなか旅行プランの立てづらい地域でもあります。今回は強引な計画を立てて、なんとかやってきました。立ち寄り入浴は不定期に営業しているようなので、事前に電話連絡してから向かいました。国道から脇道に入ると、けっこう細い道になります。集落を抜けると山道になり、けっこう奥まったところに旅館がありました。立ち寄り入浴は玄関前の呼び鈴を鳴らすように書かれています。呼び鈴を押すと奥からご主人が出てきました。料金を払うと「初めて?」と聞かれ、丁寧に説明をしてくれました。浴場は玄関前にある別の扉から入り、階段を下りた先にあるとのことでした。階段を下りていくとトイレや洗面台のあるスペースがあり、その奥に浴場があるようです。するとすぐ目の前に湯舟がいきなりありました。男女の区別もなく、いきなり浴場か?ん?と一瞬戸惑ったのですが、その湯舟の手前に男湯、奥に女湯の入口がありました。こちらは源泉槽のようです。「源泉さぎ湯 元文年間発見」と書かれています。壁にある泥の手形がちょっと不気味です。さて、ではさっそく浴場に入ります。脱衣場は簡素な棚があるだけの、意外と小ぢんまりとした感じです。そして浴場に入ると壁側に洗い場が四ヶ所、そして湯舟が三つ並んでいます。湯舟の湯は鮮やかな赤茶色をしていて、床には鍾乳洞の千枚皿のような堆積物まであります。お湯だけでなく浴場の雰囲気も民芸調というか、とてもシックな雰囲気で情緒ある佇まいにテンションが上がります。さっそく体を流していると、先客の方が「よく、今日やってるってわかったね」と驚いたように聞いてきたので、「電話してから来ました」というと、「あぁ、それが一番だよね、先週なんか日曜なのに開いてなかったよ」と、最近は不定期に休みがあるようなことを話してくれました。やはり電話していくのが無難なようです。体を流してさっそく湯舟に浸かりますが、手前側の一番大きなものはオレンジに近いような赤茶色で、透明度は15センチくらいでしょうか、けっこう濃厚な色をしています。湯に浸かると意外としっとりとしています。赤茶色の温泉の場合、けっこうキシキシと肌が軋むような感覚の湯が多いような気がしますが、ここはとても滑らかでした。続いて奥の角にある湯舟に浸かると、こちらは透明度がやや高く、濁りはあるものの底の近くまで見える状態でした。角の湯口から熱湯に近い熱い湯が注がれていて、表面が熱いものの、底の方は少しぬるめでした。ここの湯は鉱泉なので、当然のことながら沸かし湯です。窓の外から薪の香りが漂ってきて、これがまたとても芳しくて情緒を盛り上げてくれています。一番奥にある小さな湯舟は源泉のようで、冷たい水風呂になっていました。加熱された湯舟で火照った体を冷ますにはちょうどいい温度です。けっこう濁りも強く、透明度はやはり15センチくらいでしょうか。小さいですが、わりと深さのある湯舟です。また、底の方の角には何やら柔らかい感触があります。手で触ってみると細かな泥のようなものでした。沈殿した温泉成分でしょう。泥湯のような楽しみ方もできるのでしょうか。源泉浴槽には角の竹筒から冷たい源泉が注がれています。ちょっと味見をしてみると、マイルドな塩味がありました。けっこう塩分を多く含むようです。いい感じに体を冷えてきたところで、また加熱された湯舟であたたまります。それにしても本当に静かでうっとりとしてしまうようなロケーションです。他にも数名の入浴客が入れ替わりでいましたが、終始のんびりと出来た感じです。ちなみに壁には大きなパネルがあり、温泉についての分析や由来などが書かれています。開湯伝説としては、傷ついた鷺が湧いている源泉で傷を癒しているのを目撃したことで発見されたようで、「鷺が来る小さな谷(迫)」から、鷺来迫温泉になり、のちに読み仮名から「六ヶ迫」という地名になったようです。こちらの温泉宿では、元来の鷺来ヶ迫を名乗っているようでした。そんなわけで、できればもっとゆっくりと過ごしたかったので、やはり次回は宿泊で訪れたいなと思いました。
掲載: 2024/08/15
Data
  1. 所在地:大分県臼杵市藤河内
  2. 源泉名:鷺来ヶ迫温泉(白鷺湯)
  3. 入浴 :2024年5月
  4. 泉質 :含炭酸・ホウ酸・重曹食塩泉
  5. 泉温 :源泉22度
  6. 形態 :温泉旅館 男女別
  7. 効能 :高血圧症、動脈硬化症、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩など
  8. 露天風呂:なし
  9. 開放度:☆☆
  10. 清潔度:☆☆☆☆
  11. 気軽度:☆☆
  12. 穴場度:☆☆☆
  13. 秘湯度:☆☆☆☆
  14. 異色度:☆☆☆☆
  15. 湯治度:☆☆☆☆☆
  16. 景色 :☆☆
  17. 総合評価:☆☆☆☆