鹿児島県
みょうけんおんせん・たじまほんかん
妙見温泉・田島本館
杖いらずと呼ばれる薬効高い素朴な温泉
鹿児島空港にほど近い妙見温泉にやってきました。妙見温泉は空港からだと山の反対側になるので、すぐ近くとはいいながらも、山の中の静かな雰囲気の場所です。空港に向かう路線バスの通り道にもなっているので、アクセスは比較的楽かもしれません。妙見温泉は山の谷間の静かな温泉地という印象ですが、いくつもの旅館が建ち並んでいて、地味ながらも人気のある温泉地です。今回は空港に向かう途中、時間に余裕があったので立ち寄りで入浴することにしました。やってきたのは田島本館という老舗の旅館です。立ち寄りでの入浴も受け付けてくれているので、とてもありがたい存在です。旅館は国道沿いではなく、川を挟んだ対岸にあります。細い路地に入っていくと辿り着きます。駐車場脇に受付があり、そこで料金を払って利用します。浴場は駐車場の奥にある素朴な雰囲気の湯小屋です。「杖いらずの湯」として薬効高く、杖を忘れて帰るほどの効果があると評判の湯なのだそうです。湯小屋は入口から男湯、女湯と分かれています。旅館の浴場なのにローカルな共同浴場のような佇まいが好印象です。扉を開けるとすぐに脱衣所となります。とても質素で素朴な雰囲気の脱衣場です。とても素朴な雰囲気なのですが、冬場だったこともあり、暖房器具が用意されていたのは、さすが旅館の浴場という感じです。棚にはカゴが用意されただけのシンプルさが、飾ることなく気軽に温泉を楽しめそうな雰囲気を盛り上げていました。浴室に入ると、こちらもまたシンプルで素朴感に溢れたものです。大きな湯舟が中央壁側にドンと構え、手前には小さな水風呂があります。ただそれだけ、ほんと素朴でシンプルな浴場です。湯治場という雰囲気が漂いますね。ではさっそく湯舟を利用します。洗い場のようなものがないので、まずは桶で湯舟から直接、湯を汲んで掛け湯をします。けっこう熱めの湯のようですが、さっぱりとした熱さなので問題ありません。湯舟の湯は薄く白濁しているようにも見えますが、ほとんど透明です。湯舟はおそらく無垢なコンクリート製のものだと思うのですが、クリーム色の温泉の堆積物によってコーティングされてしまっています。湯舟の中は赤茶色に色付いています。おそらく温泉に含まれる鉄分やカルシウム分が影響しているのでしょう。湯舟からはプンプンと鉄分のようなミネラル臭が漂っていました。また、湯は豪快に注がれているのですが、ボシュボシュと音を立てながら注がれています。炭酸を多く含んでいるのでしょう、こんな高温なのに炭酸が含まれているというのも驚きです。 湯舟に浸かっていてシュワシュワ感を実感することはありませんが、炭酸を感じることができる気がします。それにしても温度が高いので、しばらく浸かっていると体も温まり、汗がドンドン吹き出してきます。のぼせてきたところで活躍するのが水風呂です。小さな水風呂ですが、こちらも大量に水が流れています。真冬の寒い時期ですが、冷たすぎることもなく気持ちいいです。川の水のような、ちょっと生臭いような気もしますが、どうなのでしょう? すごくナチュラルな印象の水でした。水風呂でさっぱりとしたところでまた湯舟に浸かると、ジーンと痺れるような感覚がとてもたまりません。これは癖になりそうな心地よさです。しばらく浸かっていると、壁側に蛇口があることに気が付きました。そこには「胃腸湯」と書かれていて、コップも用意されています。さっそく捻ってみると、熱い湯が出てきました。飲んでみると、ちょっとした炭酸を感じながらも、鉄分のようなミネラル味もする湯です。けっして美味しい湯ではありませんが、まずくもない湯なので飲みやすいです。しばらく湯を楽しみましたが、ほんとに静かでのんびりとした雰囲気です。ほんの僅かな時間でしたが、プチ湯治をしているような気分を味わうことができました。
掲載: 2025/04/15
Data
- 所在地:鹿児島県霧島市牧園町宿窪田
- 源泉名:妙見16号
- 入浴 :2024年12月
- 泉質 :ナトリウム・カルシウム・マグネシウム-炭酸水素塩温泉(低張性、中性、温泉)
- 泉温 :源泉40.7度
- PH :6.4
- ラドン含有量:2.3×10-10Ci/kg(8.6Bq/kg)
- 電気伝導率:0.154S/m
- 密度 :1.000
- 蒸発残留物:1.050g/kg
- 形態 :温泉旅館 男女別
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 湯治度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
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