熊本県
ひとよしおんせん・さがじのゆ おおが
人吉温泉・相良路の湯 おおが
還元系温泉?!奇跡の温泉
熊本県の南部、歴史と温泉の街、人吉。令和2年(2020)の熊本豪雨で被害は甚大だったものの、少しずつ復興してきて活気を取り戻している温泉地です。今回は幽霊の掛け軸で有名な永国寺のすぐ近くにある「相良路の湯おおが」という温泉旅館にやってきました。やってきましたといっても今回は宿泊ではありません。日帰り入浴での利用なのですが、なんとこの宿の浴場は、清掃時以外いつでも利用できる24時間営業の浴場なのです。なんてありがたい温泉施設なのでしょう。夜中でも朝方でも営業しているのですが、今回は清掃明けの昼間に訪れてみました。永国寺の隣の路地を入るとその先にスイミングスクールが見えてきて、その隣に旅館がありました。見たところ普通の小さな旅館のように見えますが、湯桶を抱えて歩いている女性の方がいたので、近隣の方のお風呂として定着しているようです。さっそく玄関を入ると自動券売機があり、そして入浴券の投入箱が置かれていて、無人スタイルとなっていました。浴場は手前に男湯、奥に女湯があり、それぞれ暖簾が揺れています。脱衣所に入ると棚にカゴが並び、まぁ、一般的な旅館の脱衣場って感じです。銭湯や共同浴場のような雰囲気ではありません。とても静かで清潔的な印象がありました。そして浴室に入ると、これまた落ち着いた雰囲気ながらも和の大人の雰囲気を醸し出した、情緒ある佇まいです。小ぢんまりとした浴場ですが、石畳に石垣風の壁、ヒノキの縁の湯舟で、窓の外には小さな庭園が見えます。和風旅館らしい見事な演出です。こんな落ち着いた雰囲気の浴場が、気軽に利用できるなんて驚きです。内壁側に洗い場が並び、窓側には湯舟がいくつか並んでいました。一番手前側にはかかり湯がありますが、温泉の成分なのでしょう、湯の流れた跡がくっきりと赤茶色に染まっています。洗い場で体を流しますが、こちらでも下の台の部分は赤茶色に染まっています。そしてシャワーから出てくる湯もまた鉄分の香りがプンプンと漂う湯です。いきなりインパクトの強いおもてなしにびっくりしました。湯舟は三つに区切られていて、一番手前が大きくて少しぬるめ、真ん中は小さくて熱め、一番奥も小さいが水風呂のようにかなりぬるい湯となっています。そして湯舟に浸かるとツルツルッと滑らかな浴感がありました。しかも微妙に小さな気泡がまとわりついてきます。これがツルツルってくる要因ですかね。けっこうしっかりと主張してくる湯ですが、しつこくはなくあっさりとした湯です。なんとも気持ちのいい湯で、予想以上の快適さにテンションが上がります。湯はほんの少し濁りがあり、ミネラルっぽい温泉臭が漂います。モール泉に近いのかなぁという印象を受けました。壁には「地質学的特質」と書かれた説明がしっかりと書かれています。けっこう難しいことが書かれています。人吉はかつて湖の底で、そこに溜まった木々の炭化木層が地下にあり、そこから温泉の成分が出ているとのこと。ただ、ここの地下は他の地域と断層で遮断されて孤立しているので、少し成分が違うとのこと。モール泉に近いが、もっと特殊で「リグナイト泉」と名づけたいと。まさに奇跡の温泉であると書かれていました。とても難しくて、凄いなって雰囲気はわかりますが、逆にうさん臭さも感じます。とはいえ、まぁ、言いたいことはわかる気がします。そして奥の冷たい浴槽に入りますが、こちらはちょうどいいぐらいに冷たく、クールダウンに最適です。温浴と冷浴を繰り返すととても気持ちよく、まさに至福の時を過ごしているような気分になりました。こんなに雰囲気もよくて湯もよくて、最高なのに何故だかそんなに混雑していません。いや、ほんの数名が入れ替わりで来ただけでした。けっこう穴場なのか、時間帯が良かったのか、とにかくのんびりじっくりと楽しむことができました。ここはおススメできる温泉施設です。
掲載: 2025/10/13
Data
- 所在地:熊本県人吉市灰久保町
- 入浴 :2025年5月
- 泉質 :ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩温泉(低張性弱アルカリ性高温泉)
- 泉温 :源泉51.0度
- 湧出量:毎分300リットル
- 形態 :温泉旅館・公衆浴場 男女別
- 効能 :きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆☆
- 地元度:☆☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆☆
- 総合評価:☆☆☆☆
温泉レポートを検索








