熊本県
ゆのこおんせん・なかむらおんせん
湯の児温泉・中村温泉
ツルツルの名湯を貸し切りで楽しめる
湯の児温泉は八代湾に面した海岸に湧く温泉地で、古くから賑わう人気の温泉地です。温泉の歴史は古く、景行天皇(大和時代の第12代天皇)が、九州地方の平定で訪れた際に、ぬるま湯が湧いているのを発見したとの伝説があるそうです。ぬるい湯だったため、「湯の子ども」ということで、「湯の児」と名付けられたとのことです。その温泉街の一角、少し内側に隠れるようにして中村温泉というのがあります。家族湯ということで、貸し切りで利用できる温泉です。6月初旬の日曜日、湯の児島を散策したあと、ぷらりと立ち寄ってみることにしました。すると入口には「予約」と書かれた紙が貼られていました。受付は手前の通り沿いにある酒屋で行うようです。利用者はいない様子だったので、酒屋で入浴できるか直接交渉してみることにしました。すると、大丈夫とのことで、さっそく利用します。料金を払うと雑談を交わしながら入口まで案内してくれて、温度の調節の仕方や鍵のしめ方などを説明してくれました。とても愛想もよくて丁寧で、気さくな雰囲気のおばさまでした。中に入ると脱衣場ですが、これまた何というのでしょう。ものすごい生活感です。誰かの家に来てしまったのかというぐらい、雑多で生活感を感じます。扇風機にはバスタオルが干されていたり、壁には何かのユニホームが飾られていたりと、不思議な空間となっていました。そして浴室に入ると、これがまた家庭の風呂場のように散らかっているというか、雑多感があります。ただ、ものすごく広いです。横幅は4メートルはあるでしょうか、ゆったりと細長い湯舟です。なかなか一般家庭でこんなに大きな湯舟は作れないでしょうが、シンプルなタイル張りの浴室で、雰囲気は家庭の浴室です。湯は太いパイプの先からトロトロと注がれ、何とそのままかけ流しになっています。端からどんどん溢れ出て排水されていました。熱い場合には水で加水するように言われましたが、加水の必要はまったくないぐらいちょうどいい温度でした。無色透明の湯ですが、浸かるとツルツルスルスルと、非常に滑らかな浴感があります。ツルツルとするのにしっとりと肌に浸み込むような感覚もあり、まさに美肌の湯という印象です。さすがは歴史のある名湯です。見た目以上にポテンシャルやパワーを感じる湯でした。浴室は完全な内湯なので、外の景色は見えません。手前にある窓から外を覗いてみましたが、民家や通路が見えるだけです。まぁ、温泉街のど真ん中にあるので仕方がないですね。それにしても、こんなにいい湯を独り占めできるのは、とても贅沢な気分です。うっとりとしながらどっぷりと浸かって楽しみます。すると、パイプの横にコップが用意されているのに気が付きました。もしかしたら飲泉も可能ということでしょうか。さっそく流れ出る湯を飲んでみました。極々微妙に塩分のようなものを感じますが、匂いなどはあまり感じません。とても飲みやすい湯でした。ちなみに脱衣所には「温泉の利用状況について」という掲示がありましたが、何故か泉質の異なるものが二枚ありました。ひとつは「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉」、もうひとつは「含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉」とあります。温泉分析表は前者のものだったので、もしかしたら分析した時期が違って、成分も少し異なっていたのでしょうか。どちらにせよ、とてもいい湯で名湯であることには違いありません。とても気持ちよく利用させていただきました。
掲載: 2025/10/19
Data
- 所在地:熊本県水俣市大迫
- 源泉名:中村温泉泉源
- 入浴 :2025年6月
- 泉質 :ナトリウム-炭酸水素・塩化物塩温泉(低張性中性高温泉)
- 泉温 :源泉48.5度
- 湧出量:毎分230リットル
- PH :7.18
- ラドン含有量:2.54×10-10Ci/kg
- 電気伝導率:3.54mS/m
- 密度 :0.9996
- 蒸発残留物:1413mg/kg
- 形態 :家族風呂 男女別
- 露天風呂:なし
- 脱衣所:あり
- 開放度:☆☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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