長野県
あさまおんせん・さかもとのゆ
浅間温泉・坂本の湯
源泉をそのままかけ流しの元旅館の湯
長野県松本市にある浅間温泉は、「松本の奥座敷」として古くから賑わう大きな温泉地です。開湯の歴史はとても古く、日本書紀に出てくる「束間」というのが、浅間温泉のことだろうと言われていて、少なくとも飛鳥時代には知られていたのではないかと言われているそうです。江戸時代には松本藩主により「御殿湯」が置かれ、松本城主が通ったり、善行寺参りの参拝客で賑わうなど、大きく繁栄してきた温泉地です。現在でも多くのホテルや旅館があり、人気の温泉地として観光客に親しまれています。温泉街のホテルで一泊した翌朝、散歩がてら近くの温泉施設に入ってみることにしました。立ち寄ったのは温泉街の奥の方にある「坂本の湯」という温泉施設です。元々旅館だったものが、日帰り温泉施設として営業しているのだそうです。土曜日の朝だったのですが、辿り着いてみるとけっこうひっそりとしていました。また、外観は温泉旅館そのものです。脇には「坂元屋」という看板もあります。今の温泉施設の名称は「坂本の湯」で、旅館の名前は「坂本屋」なんですね。最初は誤字かと思いましたが、きっと意味があるのでしょう。それにしても、入るのを躊躇うような敷居の高そうな佇まいです。恐る恐る玄関を開けると、温泉旅館らしいロビーがあります。ちょうどご主人が目の前にいたので、「入浴できますか?」と訊ねると、「どうぞ、靴のままお上がりください」とのこと。しっかりと営業されていたようで、よかったです。浴場は玄関のすぐ左側にありました。手前側が男湯で、奥が女湯となっていました。脱衣所に入ると、けっこう狭いというか、小ぢんまりとした小規模のものです。手前側に鍵の架かるロッカー、そして棚にはカゴ、洗面台はふたつだけです。そして浴室に入ると、こちらもまた小ぢんまりとしています。まさに小さな旅館のお風呂です。手前両サイドに洗い場が二つずつ、正面に湯舟がひとつあるだけの、非常にシンプルなスタイルです。しかしながら和風旅館らしい、落ち着いた品格のある佇まいです。さっそく体を流しますが、洗い場にはボディソープや石鹸類は用意されていません。料金も安いので、銭湯のような感覚で利用するようです。湯舟は縁の部分が木造で、底は石タイルです。透明な透き通った綺麗な湯がトロトロと注がれています。お湯の注ぎ口部分は「坂本」と書かれた鬼瓦が置かれていて、とても風格がありました。注がれる湯は完全なかけ流しで、加熱、加水、循環、濾過、消毒など一切手を加えていないと書かれています。お湯も少し温度が低めというか、ちょうどいい感じで、とてもマロヤカな感じがあります。お湯はスルスルとした滑らかな湯で、とてもマイルドな感触があり、浸かっていてふぅっと体の力が抜けていくような湯でした。さすが名湯と呼ばれる温泉です。見た目以上のポテンシャルを感じます。浴室は小さな内湯のみで、わりと換気が悪いというかこもった感じなので、浴室はムシムシと蒸した印象があります。それなので、そんなに熱くはないものの、しばらくすると汗が噴き出るほどよくあたたまりました。それにしても、とても静かです。穴場的な雰囲気がプンプンと漂いますが、意外なことに、先客もいたし、あとからも入浴客がやってきたので、それなりに需要があるようです。浴室が狭いので、数名の先客があるといっぱいという感じがありますが、そこまで混雑することは滅多にないでしょうから、のんびりと浸かることができそうです。浴後は肌がツルンとした心地よい感じがありました。まさに名湯を気軽に落ち着いて楽しめる、穴場的な温泉施設でした。
掲載: 2025/11/25
Data
- 所在地:長野県松本市浅間温泉
- 源泉名:第1号源泉
- 入浴 :2025年6月
- 泉質 :アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
- 泉温 :源泉46.5度
- PH :8.9
- 電気伝導率:0.0557s/m
- 密度 :1.0004
- 蒸発残留物:392mg/kg
- 形態 :日帰り温泉施設 男女別
- 効能 :筋肉・関節の慢性的な痛み又はこわばり、冷え性、疲労回復など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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